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開発ロードマップ

昨日6/14は電通大の講演会に行ってきました。調布といえば(私の中では)天神通商店街の路上アートですが、かなり久しぶりに行ってみると何と!鬼太郎&目玉おやじ復活してましたね。いやーめでたい。もちろん猫娘ねずみ男も健在でした。

演題の方は、5五将棋もなかなかでしたが、FPGA派の私としてはUCTに興味をそそられました。これってFPGA向きじゃね?とか。コンピュータ囲碁は実はもう何年も前から興味は持ってて、GNU GOのドキュメント目通したりはしてたのですが、コン将で手いっぱいでとても手がまわらなくて。今回も結局思っただけで終わりとなるような気もしますが。うーんでもいつかやってみたいなー。

帰りはコン将関係者と夕飯。他の開発者の皆さんと話してると開発意欲が湧いてきますねー。実はこれがいちばんの収穫だったりして。

さて本題ですが、大会が終わって「とにかく早く間に合わせないと」のパニック状態から脱け出して落ち着いたところで、今後の開発方針をじっくり考えてました。もちろん大会中に仕入れた情報も反映の上。現在のロードマップとしては、大項目は以下を考えてます。優先順位順に

1)時間制御
2)ハッシュ
3)デバイスグレードアップ
4)P&R
5)パイプライン
6)マルチコア

この他にも細かい項目はいろいろあるんですが、数十%以上の効果が期待できるものとしてはこのくらい。このうち1)は既に実装完。2)-4)は来年の大会までには十分できると予想してます。5)は微妙。6)は来年は間に合わないかもしれないが、再来年はできる見込み。

以下、各項目について(次号以下も含めて)詳しく書いていきます。

1)時間制御

自戦記でも書きましたが、マイムーブの時間制御は大変参考になりました。大会版のAリーグは、とにかく1手を決められた深さ読みきるまで読むようになってました。これだと1手1秒のこともあれば5分のこともある。すると時間制御としてはワーストケースに合わせざるを得ないため、時間のあるうちは深さ8、残り少なくなると深さ7、と固定で探索してました。西村さんから聞いたのは、ルートで深さ1ずつ反復深化していき、あるループが終わった時点で消費時間等を考慮して、次のループに行くかどうかを決める、というもの。これだと、深さ8が1秒で終われば、次深さ9を安心して読めるわけです。これはよいと思ったのでさっそく採用。ルートの反復だけ特別にハードで作るのも大変なので、ここだけNiosのソフトで扱うようにしました。また、そうしたついでに、aspirationも実装。これは大した手間じゃないですからね。あ、あと相手時間中の先読みも入れて。これで、序盤で9-11手、終盤でもワーストケースを除いて8-9手読むようになりました。1局の消費時間も、今までは3,4分で終わったかと思えば次はタイムアウトで負けたり、というのがありましたが、安定して10分前後使うように(floodgate, 15分で)。この効果は如実で、KShogi初級には勝ち越せるわ、floodgateのレーティングは上がるわ、マイムーブには念願の初勝利をあげるわ。西村大先生ありがとうございます。

ちなみに5月末ころfloodgateでやってたバージョンは、大会版から
 ・例のバグ対策
 ・定跡のランダム選択(floodgate対策)
 ・上記時間制御+aspiration
を変更したものです。他の点(評価パラメタ等)は変えてません。というか、上記の変更の効果を知りたかったので、意図的に同じにしてあります。

2)ハッシュ

これも自戦記に書いたとおり、大会中にいろいろ皆さんから話を聞いてやる気になってみたものです。ここ2週間ほどずっとハッシュを検討してまして、実はいったんコーディングもしてみたんですが、いろいろと課題がありまして、見直し中。今書くととりとめなくなりそうなので、続きはまた一段落したら書きます。次号はハッシュ特集、になるかも。

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コメント

講演会お疲れさまでした。
課題がたくさんあるところへ、講演で刺激を受け、開発者同士の交流で刺激を受け、ますますお忙しそうですね。

ハッシュやパイプラインが実装されると、いよいよ最先端のCPUを独自開発、という趣ですね。
今後もよろしくお願いいたします。

山田さんそれから参加した皆さんお疲れさまでした。いちばんお疲れは高速バスの森岡さんでしたかね。調布だと私は近くて楽です。
ggサイトの和訳論文いくつか見てみたけど、何言ってんだかわかんねー でもソースは見てみようっと

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