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対局向け準備

11月後半から12月に入ると、1/14の対局に向けてかなり具体的な準備をいろいろしていました。

将棋会館には11/18, 12/15の2回、下見に行きました。1回めは以下の確認:

 ・玄関~エレベータ~マシン設置室の段差チェック。台車で通れる?
 ・エレベータや各通路の寸法、エレベータの耐荷重。台車OK?
 ・マシン設置室の床の具合。畳かもしれませんが、それだと
  めりこみそう。板か何か敷いてその上にマシン置く?
 ・コンセント(4か所?)の位置。電源ケーブル持ってく
 ・マシン設置室から対局室までの距離。イーサケーブル持ってって確認

使用予定のブレードサーバが重さ150kgというシロモノなので、運搬・設置できるか?が気になったわけです。たしかメジャー持ってったはず。ほとんど引っ越し業者みたいなことをやってます。

2回めは、実際にブレードサーバを搬入し、搬入経路や設置形態等を確認するとともに、実際にマシンを動かして電力面も確認します。サーバ関連はIさんのチームが面倒見てくれました。(というか私はブレードサーバの電源の入れ方すら知りません。立ち上がったマシンにノートPC上の端末からログインするだけ。)Iさんチームの人がサーバを送るので運送業者に発注かけます。将棋会館側ではRさんが受け取り・送り出しの際に立ち会ってくれました。

サーバはけっこう音がうるさいので、対局室に置くのは絶対だめだろうということで、廊下を隔てた向かいの部屋に置くことにしていたのですが、それでも大丈夫かを一応チェックします。その部屋に実際にマシンを置き、動かしてみて、対局室まで音が来ないか確認。また、ボンクラーズをブレード6枚で動かし、電力に支障ないことを確認。

私は対局室の隅っこに座って、米長さんの指し手は記録係が読み上げるのを入力することになってたのですが、対局室には将棋盤の真上にカメラがあって館内LANからその画像が見えると聞き、その画像をノートPCに映せることを確認。画面見て入れる方がやはり間違いがないですから。連盟のその辺詳しい人に、IPアドレスや設定等教えてもらいます。

F社の人たちは皆、電王戦をイベントとして成功させようと、あらゆる側面から考えてトラブルがないように、細心の注意を払ってチェックしていました。もちろん仕事だからきちんとやる、というのもありましたが、何よりみんな盛り上がっていたと思います。やはり普段の仕事ではこういうイベントは滅多にないので、ある意味文化祭みたいな感じで、準備もハードながらも楽しくやっていたという感じでした。第三回電王戦でデンソーさんの電王手くん開発チームが注目を集めていましたが、あそこもおそらくこんな感じだったのかな、などと想像します。

2回め実地確認の後も、いくつか変更が入ります。ボンクラーズの画面を記録係の人が見えるように、記録席にもモニタを置いて画面出した方がいいだろう、でそのためにモニタとケーブルを用意したり。それやるんだったら、対局室の隣の、検討やってる控室にもモニタ置いて画面飛ばそう。どうせならボンクラーズのログから評価値を抜き出して、グラフで見えるようにしよう。この辺、私はほとんど何もやってないのですが、まわりの人たちがいろいろ工夫してくれました。1/14の本番のときも私はずっと対局室で、控室は見に行けなかったのですが、評価値グラフなどはずいぶん検討の参考になっていたようだと聞いています。

第一回電王戦のときはそういう「見せるための機材」の手配・配置は主にF社がやっていました。第二回ではF社はいませんでしたが、ドワンゴがいろいろと、かゆい所に手が届く感じで手配してくれました。第一回のときのことを参考にしていたと思います。また更に一歩進めて、ボンクラーズの評価値を配信画像にも出すなど、新しい工夫もしてきました。この辺は、回を重ねることでだんだんノウハウがたまっていった感じだと思います。

一方私の方は、私なりにとにかくイベントが失敗しないようにということで、できる限りのことをしていました。いちばん気にしたのは、「とにかくクラッシュしないように」ということ。対局ルール上は、いちおうプログラムがコケても即負けではなく、復旧に要する時間は持ち時間から引かれるけれど、手作業で復旧してから再開してもよい、ということにはなっていました。ですが、ある意味会社の看板を背負う形になってしまったので、プログラムがコケました、となったら…… まあまずいですよね、イメージ的に^^;;; ですので、ここだけはかなり神経を使いました。

もちろん、11年版のボンクラーズは5月のWCSCやfloodgateで十分実績があり、floodgateではコケることはまずなくなっていました。ですが、長時間がくせ者です。floodgateの15分では大丈夫でも、長時間になるとコケるということもあるからです。これには実は個人的に非常に苦い思い出があります。

私がはじめてコンピュータ将棋の大会に出たのは1999年です。この時は、一次予選は持ち時間20分、二次予選は25分でした。大会前は、他のチームとの比較で自分のソフトがどのくらいの強さなのかまったくわかりません。なので、まず当面は一次予選のことしか考えず、家でのテストはひたすら20分設定でやっていました。いちおうプログラム上は、オプションを変えるだけで25分になる予定でしたが、こちらのテストはほとんどやっていませんでした。

一次予選は 5勝2敗で無事通過しました。当然、一度もコケてはいません。ところが二次予選になった途端、最初の4戦で2回クラッシュで負けてしまいました。時間設定以外変えていないので、どう考えても時間のせいとしか考えられません。おそらく、ふだんより長い時間探索したことで、どこかの配列がオーバーフローでもしたのだと思います。5戦めからは時間を20分に戻して、実質持ち時間が短くなるのを覚悟で指していました。

そういう経験があったので、持ち時間3時間での対戦もF社のサーバ上でかなり入念に行っていました。しかしそれでもまだ不安要素があります。それは、昼休みです。昼休みがなければ、持ち時間3時間ならば、仮に一局が120手とすると、自分は60手指すので、平均1手3分程度考えられる計算になります。実際は残り時間とか局面の難しさとかいろいろ考慮して少しずつ変わりますが、どんなに長くても1手6,7分程度しか考えません。ところが、昼休みがあると、1時間ぶっつづけで考えてしまうわけです。マシンを止めるとまた再開がいろいろと大変なので、止めるわけにもいきません。1手1時間の対局は、さすがに本番までに十分なテストはできません。

でいろいろ考えた結果、1手に考える時間は最大10分程度として、それ以上は時間があっても探索を打ち切る、あとはたとえ時間があっても何もしない、というふうにプログラムを変えました。この状態で、1手10分以上考えるような条件(持ち時間20時間とか)でまたF社サーバで延々と対戦させて、まあどうやらコケなさそうだということを確認して本番に臨みました。

以上はコケないための対策ですが、更に念には念を入れて、万一コケたときに、コケた局面から再開できるような環境も作りました。ボンクラーズの環境は、ボンクラーズがshogi-serverという対局サーバを介して、K-Shogiとつながる構成になってまして、私はK-Shogi上で米長さんの指し手を入力する、という形にしていました。shogi-serverは、この時に私が使っていた版は任意局面からの再開ができなかったのですが、この時の少し前に任意局面から再開できる版がリリースされていたので、そちらに変えました。また、K-Shogiはどうも任意局面から再開がうまくいかなかったのですが、将棋所だとできることがわかりまして、将棋所+新版shogi-serverで、コケたらコケた局面から再開できるような環境を構築して、万が一に備えていました。

これが会社が関係なく個人での参加ならば、コケたら「あ、コケちゃいました~ てへぺろ」で済むのですが、やっぱり会社が絡むといろいろ大変だよなぁ、とは思っていました。

その他12月の出来事としては、12/20のプレマッチですか。これはこちらの作業はほとんどなく、24のレーティング対局室から特別対局室に移した程度でした。プレマッチについてはニコ生で放送されたので、ここでは詳しくは述べません。この連載は「ダークサイド」で、表に出なかったことの記録を残しておくのが目的です。あとは24の最高レーティング(当時)3364を出したのがたしか年末ぎりぎりくらい。

そんな感じで2012年が明け、対戦が目前になりました。次回は、電王戦0.2勃発の話になります。

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コメント

CSAの大会に個人で参加している分には「コケました」で済みますが、イベントが大きくなりいろいろな方の協力やら関係やらが絡んでくるとそうもいってられなくなりますよね。

たしか前回の電王戦でGPS(670)の方も「勝ち負けよりもまずは最後までちゃんと動いてくれてよかったです。」といってましたもの。

やねさんがコケないように一生懸命だったのも同じ理由かと推察します。

非常に慎重に準備をされていたことがわかりました。
つい、「やねうらさん、どうなのよ」と思いましたw。

勝ち上がれるかどうかわからない電王戦の予選出場の段階で、プロとの5番勝負を意識して設定をすることは、開発者にとって、どんなものだろうかとも思いました。予選トーナメントの終了後に余裕のある開発期間が必要と思いました。

ちょっと前に伊藤さんに肯定的なコメントして掲載頂いたんですが
2chでボコられてたww(昨日知った)

ブレードサーバは150kgもするものなんですか。舞台裏の下準備は大変なんですね。
今はドワンゴさんが自ら電王戦トーナメントを開けるぐらい、ソフトの対局も将棋中継もお手の物ですが
それもこうしたノウハウが少しずつ蓄積されて、ドワンゴさんが改良を重ねてくれた結果ということですか。
デンソーさんの開発チームの人はとてもいい人達でしたから、
無事動くか心配は絶えないでしょうが、次局以降も楽しんでもらえる対局になるとよいのですが。

ソフトがコケるというのもまたタイムリーな話題ですねwやねうら王は前のバージョンに戻りましたから
長時間の思考時間でフリーズしないか試したりはしてないでしょうし、
第2局は本当に不確定要素が多すぎて・・・・とにかく無事に終わって次につながる対局になってくれないと。
内容に期待する部分はなくなりましたね、トラブルなく終わってくれればそれ以上贅沢は言わない。
どちらの対局者の応援もしづらい形になりましたので、何の因果かまたも大変な対局の担当になった
木村先生と河口先生を精いっぱい応援するために、少しだけ放送をチェックしようかと思いますw

いま行われている電王戦と比べると、サーバー構成とは随分と大掛かりに見えますね。ガレリアで動かすのと比べて棋力はどのぐらい差があるんでしょうか。
米長会長は普通の家庭用PCで戦ってもかなり分がわるかったようなので、あまり意味のない過程ですが(^_^;)

「電王戦第2局の説明会」と「局後のインタビュー」ではっきりとわかりました。
まあ棋士さんの事は置いておきましょう。
でも仮にも「理事」という肩書の人。
あまりに「身内」に執着しすぎて回りが全然見えていませんね。
それでも本来は中立な立場が必要なはずの「立会人」だそうです。
そうして、「身内びいきが当然だ」というのが連盟の常識なのでしょうね。
伊藤さんが何に腹を立てたのか、よくわかったような気がします。

豊島 vs YSS、屋敷 vs ポナンザの結果次第で、多くの人のコンピュータ将棋への興味が急速に冷え込んでしまうと思う。

将棋ソフトとの対戦。
随分と棋士さんによってとらえ方に差があるのだなということが分かりました。
まあ、このブログを見てやって下さい。
http://ameblo.jp/loveexpo908/entry-11803657977.html
絶句しました。
今回はたぶん開発者さんの方が真剣だったのでしょうね。

まぁ、たとえ名人が負けても、しょせん道具なんだから、しばらくすれば新しい遊び方が見つかるんじゃないかな。

とりあえず今の時点では、一番手直り差し込み勝負を見たい。
駒落ちは強いのだろうか。

以前、伊藤さんは第三回電王戦は「プロ側の対ソフト研究発表の場になるだけだ」と仰っていましたが、現在プロが2連敗しているこの事実をどう受け止めておられるのでしょうか? また、残りの3回はどういう勝敗になると予想していらっしゃるのでしょうか?

いくつか原因は考えられると思います:

・ソフトの対策(ランダム化、局後学習等)が想定した以上にできていた。(私の予想では、1週間では難しいだろうと見ていました)
・プロ棋士が、ソフトの「弱点の衝き方」を知らなかった。
 コンピュータ将棋開発者の間では「研究発表になるだけ」はコンセンサスでした。前に書いたように保木さん、山本さんもそうだし、山下さんもたしか「今回の条件ならプロ側で5勝する自信がある」とか言ってたと思います。ですがこれはもしかすると、ソフト開発者はソフトのことをよく知っていて、どうすれば「弱点を発見できるか、再現できるか」をわかっているからなのかもしれません。開発者が当然知っていることを、プロ棋士は知らず、そのため再現方法がわからなかった可能性はあると思います。
・プロ棋士側の研究が足りなかった
・開発者(私を含めて)の予想が間違っていた

どれが正しいのか、現時点ではなんとも言えないですね。それによって今後3局の見方も変わってきます。

前2局のプロは、弱点を探してそれを突くという戦略を潔しとはしなかった、可能性もあると思います。

なるほど、そういう背景があったんですね。視聴者(読者)側からはちょっとわからないようなことだったので、教えていただいて溜飲が下がりました。
丁寧な回答をしていただき、ありがとうございました。

masaさん
そうですね。おっしゃる通り、確かにそれも考えられます。

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