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裁判長!ここは賠償金1億円でどうすか

年末に賠償金が振込まれていました。おかげさまで気分の良い正月を過ごせました。さあみんなも、裁判やって賠償金をふんだくろう!w

さて今回は、弁護士との最初の打合せについて書きます。アポを取って、先方の事務所を訪問しました。行ってみたら、普通のマンションの1室を改装して事務所にしたところでした。事務の人等もいなくて、全て1人で切り盛りしています。以前は弁護士が複数いる事務所に属していたけど、しばらくして独立した、とのことでした。

5000円がかかっているので、最初の30分で、まずは依頼するかどうかだけメドをつけよう、と思っていました。法律事務所のホームページがありまして、価格体系も載っていたのを事前に調べておきました。ここの事務所は、示談交渉だけだと1件約7万円、裁判になると約10万円、となっていました。これは事務所によりけっこう差があったと思います。ここはたぶん最安に近いんじゃないかと思います(値段だけで決めたわけではありませんが)。で、依頼することになれば、30分越えた後の相談料は7万なり10万なりに含まれるので、時間をそれほど気にせずじっくり相談ができるわけです。

なお、ここは「1件あたりいくら」という料金体系でしたが、他は必ずしもそうでないかもしれません。裁判が長引くとそのぶん費用がかかるところもあると思います。私の場合は、最初に想定したより示談交渉も裁判そのものもかなり長くかかったので、そのぶん弁護士さんの時間あたり報酬は安くなってしまい、申し訳なかったかなと思うくらいです。

裁判所に1回出頭するたびに、交通費実費しか請求されませんでしたが、人件費を請求するところもあるんじゃないかと思います。「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」という本があります。読んだ方もいらっしゃるでしょう。この中で、刑事事件の国選弁護人には1回いくら(8万、だったかな)で報酬が出る、だからできるだけ裁判を長びかせようとする弁護士もいる、という話が出てきます。

あとよくわからなかったのが、弁護士の専門分野です。医者だと内科とか外科とか分かれてるじゃないですか。弁護士もそういう得意分野みたいのがあるのかな、というのがわかりませんでした。で、まずそこを聞いたところ、刑事と民事では民事の方しかやっていない。ただ民事ならばひととおりのことはできる、とのことでした。これも、あくまで私が頼んだ弁護士さんはそうだった、という話で、よそはどうなのかよくわかりませんが。

民事で依頼が多いのは、おそらく離婚や借金関連でしょうか。名誉毀損は件数的には少ないだろうと思うのですが、問題ないようでした。ただ、民事といっても、2chの悪口に対して相手を特定して請求、とかいう唐沢さんみたいなのはちょっとわからないと話していまして、ああいうのはちょっと特殊みたいです。

事前にメールを送っておきまして、その中で知りたい項目を書いておきました。
1)そもそも、名誉毀損は成立するのか?
2)賠償金どのくらいとれそう?
3)費用・時間どのくらいかかる?
4)裁判やることで何かデメリットある?

まず1)の確認がしたい、それがYesなら、2、3、4を勘案して裁判するかどうか決めたい、とメールに書いておきました。また新潮と将棋世界の記事も添付しておきました。ちなみに、将棋のことは全く知らない方です。知ってる人の方が話は多少早いかもしれませんが、まあ説明すれば済むことです。将棋ファンなんて100人に1人もいないでしょうから、そういう人を探す方が大変だろうし、第一そういう人だと連盟の肩を持ちかねません。というわけで、行ってから事情について、電王戦というのがあって…というところからざっと説明しました。

弁護士さん曰く、「賠償金額はともかく、この記事ならば名誉毀損が認められること自体はたぶん間違いないと思います」とのこと。費用は、上記の弁護士費用の他、訴訟を起すのに裁判所に払うもの、証拠作成の費用等がありますが、ざっくり見積もりで二十万も見ておけばいいかなあ、とのこと。とするとトータルで大体30万くらいかな、というのがこの時点での感触でした。時間は数か月のオーダーだろうけど、相手の対応にもよるし、何とも言えない。デメリットは、逆告訴されたりする例もなくはないが、今回のケースだとまずないのではないか、とのこと。

取れそうな賠償金額ですが、弁護士さんにも聞きましたし、事前にだったか事後だったか記憶が定かでないですが、私もググってはみました。名誉毀損の事例だと、十数年くらい前までは百万がほぼ上限だった、との記述が見られました。ただ最近はより高額の賠償支払いの判決もあって、事情が変わってきているようです。賠償金数百万の判決もけっこう出ています。少し前にはヘイトスピーチで1226万円の賠償命令、というニュースがありましたね。ただしこれは名誉毀損訴訟としては「異例の高額賠償」というコメントがついていましたが。

もちろん、この段階では賠償金いくら取れるかはわかりません。そもそも名誉毀損が認められなければ、賠償金0円どころか、むこうの訴訟費用をこちらが払わされる可能性だってわずかですがあるわけです。とはいうものの、全体を勘案して、もともと儲けるのが目的ではないので、元が取れれば十分、場合によっては多少赤字でも、謝罪させて連盟を痛めつけられればOK、くらいの気持ちでいまして、最低でもそのくらいはおそらく達成できるだろう、とこの段階では見込みをつけました。で、正式に弁護士さんに依頼し、裁判に向けて進めていくことになりました。

決めた請求金額については、数字はここでは書けません。ですが一般論として言うと、判例等を参考に、「現実的に取れそうな上限」を目安に設定するのがよいと思います。訴訟を起す際に裁判所に支払う費用は、請求金額によって変わります。ですので非現実的に額を大きくしてもムダな費用がかかるだけです(といってもそう大した額ではありませんが)。かと言って低くすると、本来取れるものも取れなくなります。青色LEDの中村さんの訴訟の第一審では、裁判所が中村氏の本来の取り分を200億円以上と認定したものの、請求が200億だったので200億どまりになった、ということがありました。ですので「取れそうな上限」とするのがベストでしょう。

こうして方針は決まりましたが、いきなり裁判、とはなりません。いずれ裁判にするにしても、まずは示談交渉をしておくのが定跡です。ということで、弁護士さんが連盟に送る文言を考える、それをまた議論して決めてから送付する、という方針を決めて、この日の打合せは終了しました。

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コメント

弁護士費用が10万円とは格安ですね。スタッフが自分一人だからそれでもやっていけるのでしょうね。

続きが楽しみです。連盟が裁判になる前に謝っておけば賠償金など払わずに済んだものを・・・・・

賠償金やお正月以上に失われたものは大きかったと思いますが、これからも頑張ってください。

ふんだくる、ゆする、まきあげるって同義語だったような。
どうしちゃたんですか。

弁護士の専門というのは、おおざっぱにいうと、やったことがあるかどうかみたいです。
一応専門家なので関連法令をみれば何が請求できるのかはわかるけど、相場感や手続の知識などはさらに調べたりする必要があるようです。

しかしツイート拝見していると、”仕事したくない”ツイートが多いですね^^;
そんなに嫌なら辞めるなり、もっと楽な所に転職すればいいのでは?

この記事は常識的な内容。記事のタイトルだけが異常

なるほどなるほど。そして次はその弁護士さんが考えた文言を連盟に送って云々、示談交渉の内容ということになるのですね。面白くなってきました、次も楽しみです。
今しがた連盟のHPを覗いてみたら、「子供人口も含めて将棋人口は1000万人」と推計する内容がありましたが、これはどう考えても「将棋を知っている人口、ルールくらいはわかる人口が1000万人(位)」ということでしょうね。
やっぱり新年にふさわしくおめでたい団体です。
さらにその中で、「将棋連盟の活動に注目している」という人口が、今回のようなドタバタを連盟がやらかしているということを知ればどうなのだろう、と考えると笑えないジョークとなってしまいます。

> 賠償金やお正月以上に失われたものは大きかったと思いますが、
> これからも頑張ってください。

「伊藤氏はクレーマーだ。
今回の件で、関わらない方がいい人物だと思われるだろう」
という論調ですが、それは間違ってると思います。

クレーマーと思われることや衝突を恐れて、
泣き寝入りしてはいけない。

やられたらやりかえすくらいの喧嘩度胸は絶対必要です。

当職に殺害予告をしたからと言う理由で300万円を請求した脅迫紛いの唐沢弁護士の名前を挙げないで下さいナリ。

伊藤さんは自分が正しいと思ったことは正しいこととして特に考えもなく言えばいいと思っているのかもしれませんが、
(そもそもゲーデルの不完全性定理を持ち出すまでもなく、正しいことなんて数少ないわけですが)
他の人はもっといろんなことを考えて発言しているのです。
朦朧としたという発言一つにしても本音か建て前かはわかりません、とりあえず徹夜明けで万全ではないでしょうけど、だからといって本当に継続できないほどの朦朧なのかといえばわからないでしょう。実際、記者の方は森下さんがまだまだ元気だったということをおっしゃっています。中断したことについてのフォローとして発言されたのかなとも私などは思ってしまいます。
結局、伊藤さんが電王戦関係、将棋関係について発言されても誰も得をしないと思うのですけどいかがでしょうか。伊藤さんにとっても得になることは何一つないでしょう。
(ソフトをこれ以上強くしても誰も得しないとは伊藤さんの言ですが、それと同様です。)
将棋連盟に対する不満は裁判関連の記事を投稿すれば十分じゃないですか。それでさえ誰の得にもなっていないとは思いますが、さらに新たな火種を作る必要は全くないと思います。


9番目のコメントの
>将棋連盟に対する
以下の文は、まるで連盟の行為の違法性に対して何も言わず黙っていると
得をするとも読めてしまうので、少なくともそれには賛成出来ません。
ソフトをこれ以上強くしても誰も得しないという伊藤さんの言葉は、シンプルですけど様々な立場の人に立って考えると、いろんな解釈が膨らんで示唆に富んだ発言ですが。
ともあれ、当然伊藤さんは、どんな形や媒体であれネットを通じて発信する意味をご存知でしょう。ですから、私は電王戦に関する話題には、この様な表現を使って欲しくありません。
丁度1年程前に同じようなコメントをしたのですが、伊藤さんがどんな発言をするのも自由ですけども、出来ればあの時の伊藤さんのスタンスに沿った発言をしてほしいとは思います。

棋士は礼節を重んじるものだと思ってたけどなぁ・・・・
記事読むと棋士以外は人にあらずって感じが伝わってくる

失礼ながらなんとなく選んだ先生が、大当たりでよかったですね。

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