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第2回電王戦における対局ルール決定プロセス

先日の電王戦ファイナル最終局では、プロ側がハメ手に誘導してソフト側が21手で投了、というまさかの結末でした。イベントとしてはなんともお粗末な結果です。こうなった最大の原因は「事前貸し出し、ソフトは修正禁止」という対局ルールにあったと言ってよいでしょう。

では、電王戦のルールは一体どうやって決めている/いたのか?どう決める「べき」なのか?以前の記事で、第1回の時のルール決定プロセスについて書きました。今回は、裁判の話はいったん置いて、第2回のルール検討の様子を書いてみます。

以前の電王戦実録の連載では、第1回の終了後で話を終えました。これは主に、私自身が将棋開発をやめてしまったからなのですが、そのために第1回終了後(2012年2月頃)から第2回終了後(2013年6月頃、内舘記事掲載前)までが空白となっていました。この期間、私としては将棋はメインの興味対象ではなかったため軽く考えて飛ばしていたのですが、後で考えると電王戦史としてはいくつか重要なこともありましたので、それらも忘れないうちに書き留めておこうと思います。

さて、12年5月のコンピュータ将棋選手権の閉会式の場で、米長会長(当時)が「上位5チームを第2回電王戦出場とする」と宣言しました。ですがその後連盟からは数か月全く音沙汰がなく、開発者側は「ほんとにやるのかな?」という感じでした。9月になってようやく「準備中。もうすぐ連絡しますのでよろしく」というメールがあり、10/18に「12月の記者発表をしますので、その日は空けておいてください」というメールが来ました。連盟側担当は今回も、以前からお世話になっていた職員のRさんです。

私としては、前回第1回は後出しで妙な条件を出されるという苦い記憶があったので、今回はああはならないようにしよう、と思いました。それでRさんに「事前に条件やルールを全部決めましょう。参加回答はそれらの合意ができてからとさせてください。ルール案はできていますか?あと、プロ側の対局者を教えてください」と聞きました。すると「ルール案は今作成中で、少しお待ちください。対局者は後ほどお知らせします」とのこと。

ほぼ同じころ、ドワンゴの方から「PVをとりたいのでインタビューさせてほしい」と連絡がありました。これには「連盟にルール等問い合わせているが、まだ何も情報が来ていない。何もわからない状態でインタビューされても話しようがないので、情報が来てからにさせてほしい。ついてはドワンゴからも、連盟に情報提供を早くするよう促してもらえると助かる」と回答しました。

11/9にRさんからルール案と対局者情報を送ってきました。ルールの第一案がこれです。Rさん曰く、これはまだ案であって決定ではない、これから開発者側の意見も聞いたうえで最終決定する、とのこと。

第1回の時にもかなりルールは検討したので、基本はそれにのっとってはいます。ですが細部でいろいろ変わっているため、改めてこちらでも検討しました。その結果いくつか問題点がありまして、次のように回答しました。

-------------- メール:私->R氏 2012-11-17 ---------
R様

伊藤@Puella αです。お世話になっております。

第2回電王戦対局ルールについてこちらの意見をまとめました。
ご査収ください。

記者会見の充分前にルールについては合意しておく必要があると
考えますので、11月中には合意しておきたい。ですので、来週
水曜、11/21までにまずはこちらのコメントに対する連盟の意見
をください。そこで100%決まらない場合は議論の場を持って話し
合うのがいいと思いますのでその時相談しましょう。

---------------
まず、いくつか質問&確認:

・連盟側で、ルールに関してどなたが検討していますか?
第1回のときは谷川先生、北島先生、小谷さんが「委員会」
となって検討していたと思いますが、今回はどうなっている
のでしょう?

・文中に「対局規定」と「対局規則」が出てきます。
この2つは同じものですか?それとも別物?いずれにせよ、
その文面を見せてください。

・上と絡みますが、「公式戦規定24点法」の詳細を
知りたいです。点数の数え方は知っていますが、提案の
条件・成立の条件等の正確な詳細を知りたい。これも
明文化して、文面を見せてください。

・夕食休憩はないのですか?午後は終局まで休憩なしで指しつづける?

・対局日の前日は会館に泊れますか?また、機器の搬入も前日に
行なえますか?(下の「開始時のペナルティ」とからみます)

・運営上、「何時までに終わる必要がある」などの制限がありますか?
(下の「256手規則」とからみます)


以下、意見です:  【】内は、送っていただいたルール案中の章名

【コンピュータの設置条件】

棋士と同じ範囲の持込みを、開発者もしていいですね?

【コンピュータのトラブルに関して】

対局開始時のペナルティについて、前日から準備できないので
あれば対局開始時の遵守が保障できないのでペナルティはなしに
してください。(前日からできるならOKです)
なお、第1回のように「深夜1時から」のようなのはだめです。

【着手確定】

棋士側の時間カウント開始時点について、以下のいずれかにしてください。
A)代理者が指した時点でなく、読み上げた時点からカウントを始める
B)読み上げ係はまず(読み上げずに)指し手を紙に書き、棋士に見せない
 ように代理者に渡す。で、代理者が指した時点からカウントする。
 読み上げるのは代理者が指した後。

【持将棋】

「コンピュータ将棋の思考はその提案以降停止する」は、技術的に無理です。
思考は続けさせてください。

【256手規則】

これは何なんでしょう?まったく容認できません。裁定で勝負が決まる、など
論外です。運営の都合である時刻以降できないのなら、その時刻で終了としま
しょう。その場合、対局者のどちらかが敗勢を認めて投了する、ならよいですが、
対局者が納得しないのに裁定で負けになる、というのは認めません。

なおコメントですが、ソフト側はだいたい評価値が出ますので、形勢判断は
だいたいわかります。そこで大きく敗勢と分かれば、ソフト開発者はおそらく
投了すると思います。ただ、いずれにせよその判断は開発者側にまかせて
いただきたい。

【コンピュータの対局への疑義への対処等について】

章ごとすべて削除してください。環境・マシンの保持
やログの提供などはこちらの工数・コストがかかり
ますのでできません。対局以後はこちらに一切の
義務がないようにしてください。(既報)

【その他】
最後にもう1点。

「このルールが対局に関わる制限のすべてであり、これ以外の制限は
存在しない。開発者はここに明記された以外にいかなる義務も制約も
受けないし、将来の対局の参加資格等を制限されることもない」

を明記願います。言うまでもありませんが、第1回のときに後出しで
「ボンクラーズは第2回以降参加できない」などと言われたので、
そのようなことがないことを確実にするためのものです。

以上
-------- メール終わり ---------

こんな感じで、項目ひとつひとつごとに細かくチェックしていきます。その後Rさんと何度かやりとりして、いくつかの部分では合意が取れましたが、次の3点が合意できずに残りました。

・256手規則
・疑義への対処(マシン環境の保存)
・「将来の対局の参加資格等制限はない」

最初の2点について少し補足しておきます。まずマシン環境の保存に関してですが、私はこの時点で将棋開発は辞めていましたが、12年5月の選手権の後、Puella αを動かすPC 4台を、第2回電王戦のためだけにそのまま保持していました。電王戦が終わったらすぐドスパラに売るつもりでした。3か月保持が必須となれば、売値も落ちますし、何より我が家もそう広くないので、デスクトップPC4台を必要もないのに置いておくことはできません。その意味で私にとってはこの条項の撤回は必須でした。

また256手規則については、連盟がこと勝負になると相当汚い手でもやってきかねないことは身にしみてわかっていたので、裁定を信用する気にはなれませんでした。だいぶ後になりますが、昨年末のツツカナ-森下リベンジマッチでは、将棋自体は森下さんが有利ながら、当初のルール通りに対局を進めたならば人間側の体力が尽きてTKO負けになる可能性が高かったところを、途中でルールを変えて「裁定」で対局を中断して人間勝ちを宣言してしまいました。これでは勝負も何もあったものではありません。まあリベンジマッチは余興だったのかもしれませんが、真剣勝負でこれはありえない。ここも私は妥協する気はありませんでした。

ここまではRさんとのメールのやりとりだけでしたが、Rさんの権限上決定できない部分もあり、Rさんだけと話していてもこれ以上は先に進まなさそうなので、連盟理事を交えて打合せをしませんか、と提案しました。今回は北島理事(当時)が電王戦担当とのことで、まず北島理事と私が電話で話すことになりました。それで、11/23に電話しました。

で、電話で上記3点を説明し、撤回/修正してほしいと話したのですが、北島理事は「いや、でも必要なルールですから」と言うばかりで一向に話が進みません。マシン環境の保存は「疑義への対処のために必要です。何かあったら調査できるようにしておかないと、公正な対局ができません」と繰り返すだけ。

押し問答をしていると、そのうち北島理事は、「このルールはもう決定事項なので、今から変えることはできません」と言い出しました。また出たよ!「決定事項」!いやそれおかしいでしょ?まだ「案」で、最終形を決めるために話し合いましょう、ってことで電話したのに。それで「Rさんからは『まだ案の段階で、決定ではない』って聞いてますけど?決定だったら、そもそもこうして話す意味ないですよね」と言ったところ、北島理事「そういうことになりますね」 私も極力冷静に話そうとは思っていましたが、さすがにこれには頭に来まして、「そうですか。じゃあ話しても無駄ですね」と言って電話を切りました。

北島理事は「執事系」などと言われてまして、物腰が柔らかというイメージがあります。実際私も11年10月まではなんとなくそう思っていましたし、面と向かって話すときの話しぶりは確かに穏やかなのですが、話す内容の方は以上のようなものでした。

それから、まずRさんにメール。「Rさん、『まだ案の段階』って言いましたよね?北島理事は『決定事項だから変えられない』って言ってますよ?どうなってるんですか!」これ、電話切った直後に書いてまして、かなり怒りモードになってます。それからすぐに、今度はドワンゴの担当のEさんに電話。「これこれこういうわけで、連盟が話し合いに応じません。お手数かけてすみませんが、ドワンゴさんが間に入ってもらわないとらちが開かないんですが。」ほんとにEさんには申し訳ないんですが、ドワンゴが動かないと解決しない。逆に、ドワンゴが見ているところでは連盟は無理を通せないだろう、と読んでいました。

Rさんも北島発言には困惑したようで、とりいそぎ「いや、決定事項ってことはないはずなんですが…何か行き違いがあったのでしょうか。とにかく、北島理事に真意を確認してみます」との返信。とりあえず北島理事が嘘を言ってることがわかり、ひと安心です。それからRさん、Eさんとひとしきりやりとりして、11/27に将棋会館で北島理事、Rさん、Eさん、私で打合せすることになりました。

今回は私一人ではないので、他の4チームの開発者に「今度ルールに関して連盟と打合せします。何かみなさんの方でルールでもめてるようなことありますか?あったらまとめて話したらどうでしょう」とメールしました。ツツカナ、ponanza、習甦は「連盟案で問題ありませんと回答しました」とのこと。GPSはクラスタで大学とつなぐ都合上別途やりとりしている、とのことでした。

私が問題視していた3点のうち、マシンの保持に関しては、1台ならまあ将棋以外にも使い道あるでしょうし、大学のマシンならそもそも関係ないので、これが問題になるのは、自前のマシンでクラスタ並列をやっている私だけだったのでしょう。参加資格制限の話はそもそもルール案にあったものではなく、他の開発者は論点自体知りませんでした。他の開発者にとって問題になるとすれば256手ルールだけなのですが、これについては「言われてみればたしかに問題かもとも思うが、レアケースなので深く考えてなかった。それに、微妙なケースは裁定でそれなりに対処してくれると思う」とのことでした。たしかにこれ、連盟を信頼しているならばそれで問題ないんですよね。私自身、11年10月の「CPUは3個まで。絶対だぞ!」メールをもらうまでは、連盟をほぼ全面的に信頼していたので、彼らの考えはまあわかります。ただ、第1回でいろいろ修羅場を経験した私だけは、連盟に任せて安心、という気持ちには全くなりませんでした。ちなみにこのブログに書いてきたような裏舞台の話、この時点ではまだ誰にも話していないので、誰も知りません。知っていたらまた違ったかもしれませんが。

で、11/27に打合せしまして、まずマシン環境の保存については、連盟「公正さの確保のため絶対必要」私「マシン保持はコストがかかることなのでできない」だったので、「じゃあ保持のコストは、必要と考える側が持つべきですよね。私はPCを倉庫に預けますので、運送&保管等、保持にかかる費用をそちらで持ってもらえますか?それならいいですよ」と提案すると、Eさんが「それならいいんじゃないですか。連盟はどうですか?」と同意してくれ、連盟も内心はどう思ったか知りませんが、Eさんが納得したのに反論できないと思ったのか、同意してきました。次、256手については、Eさんに「案の通りだと、256手でまだ白熱の戦いの最中でも『はい終了、裁定~』になりますよ。それはお客さん怒るでしょう。イベントとしてまずいですよね?この条項は見直さないと。」と言うと「それはたしかにそうですね」と同意してもらえ、じゃあどうするか、でしばし議論しまして、「裁定は24点法の規定に準じる。24点法で勝負がつかないなら引き分け」ということになりました。これで、基準が曖昧な身びいきの裁定は封じることができました。最後の参加資格については、ドワンゴ側から次回(第3回)については現状コミットできないということもあり、ルールに明記はしないが、この場で北島理事から「そのような参加資格制限はしない」と意志表明し、それを参加者全員が確認する、ということでよしとしました。まあ私自身はこの時点で第3回に出るつもりはまったくなかったのですが、他の開発者が私と同じトラブルに巻き込まれないように、ということです。

ということで、今回も無事主張を通すことができました。

少しして、合意内容を反映した第2回将棋電王戦 対局ルールが発表されました。ところがなぜかここでは、合意内容からマシン保持の話が抜け落ちていました。これについて説明は受けていません。推測するに、余計なコストのかかる可能性のあるルールは入れられない、ということで削ったのでしょうか。まあこちらとしては、この条項がなくなるぶんには別にかまわないのでこの時点ではツッコまなかったのですが。

…というのが第2回電王戦でのルール決定プロセスでした。今振り返っても、北島理事があれだけ強硬に、「決定事項」と嘘をついてまで押し通そうとしたマシン保持の条項を、最後になってあっさり自分から削ってしまったのがなんとも解せません。まあ自分たちがコスト払うのが嫌だったのでしょうが、PCの保管費用など大した金額ではないので、本当に必要なのであればやればよいだけの話です。

つまり彼らは、「公正さの確保のため必要」と主張しながら、実のところはマシンの保持なんて本当に必要だとは考えてなかった。「公正さの確保」というお題目自体、嘘だったわけです。じゃあなぜそんな主張にこだわったのか?というと、今のところ筋の通る説明としては、「私に嫌がらせしたかったから」以外にどうしても考えつきません。

この件の前までは、私は連盟に対しては、「少し変な連中、時々無茶な要求をしだす」とは思っていたものの、嫌うというほどではありませんでした。「CPUは3個」にしても「ボンクラーズは排除」にしても、「将棋で負けたくない、だから強いソフトを弱くする/排除する」という話です。これは、正しいとは言えないしみっともなくはあるのですが、ある意味「理解」はできます。同情する部分すら(皮肉でなく)ある。小さな子供のわがままを見るようなもので、困ったもんだとは思いつつも「やれやれ、しょうがないなぁ…」みたいな面がありました。

しかし今回のはちょっと違う。マシン保持を強要しても、私が損をするだけで彼らには何の得もないわけです。私への恨みだけでこんなことまでやるのか?私自身について言うと、必要ならば自己の利益を主張することはもちろんありますが、自己の利益にならないのに他人を困らせる・損をさせるためだけにわざわざ何かする、ということはありません。そんなとこにエネルギー・リソースを使うよりも、自分の得になることに使った方がいいと思うからです。自分がそういう風なので、他人を困らせるためだけに何かする人間、そうまでさせるようなネガティブな情念に対しては、自分が理解できないだけに、得体の知れない気味悪さを感じてしまいます。自分の得のために利己的に振る舞うのは、いいとは言いませんが、少なくとも理解はできる。ですがこの時の連盟/北島理事の行動には、「うわ何この人たち…気持ち悪い」と心底思いました。あ、最近は「キモい」と言うのでしょうか。

この時、私の連盟に対する見方は、「少し変な連中」から、はっきり「気味悪い、関わりたくない」になりました。第2回電王戦はもう決まっているし今更出ないとは言えませんが、もう将棋開発も辞めているし、第2回が終わったらもう連盟とは関わらないようにしよう、と思っていました。ところが第2回終了後に内舘記事が出て、こちらの名誉を守るためにまた関わらざるをえなくなるのですが。

なお、この時は米長会長は既にだいぶ容態が悪かったようなので、この時のやりとりには関わっていないはずです。この時の連盟側の対応は、北島理事単独か、谷川専務理事と2人で決めていたと思われます。

ともあれ、第2回は第1回に続いて、途中のあれこれはともかく、開発者もルールを考え、議論して決定していった、ことはおわかりいただけたかと思います。その甲斐あってか、イベント本番ではルールを巡るトラブルは起きませんでした。さて第3回以降はどうか?これも以前の記事に少し書きましたが、私は第3回以降は関わっていないので詳細わからないながら、どうやら開発者の意見はまったく聞かれていないようです。第1・2回での私とのやりとりに懲りて、もう開発者の意見は一切聞かない、という姿勢に変えたのかもしれません。もしそうだとしたら、とても愚かなことだと思いますが。連盟+ドワンゴだけで、コンピュータ将棋側の意見を聞かないならば、満足の行くルールは到底できないと思います。

開発者ならおそらくほぼ全員、「貸し出しあり、修正禁止」ルールはフェアではないと感じたはず(実際に発言しなくても、内心は)ですが、なぜこうなったのか?開発者の意見が言えなかったのか?と考えると、電王トーナメントの存在が大きいように私には思えます。第2回までは、コンピュータ将棋選手権の優勝/上位チームに出場を「依頼」していた(少なくとも、形の上では)。しかし第3回以降は、最初に連盟+ドワンゴでルールを決めたうえで電王トーナメントを行い、「このルールでやります。嫌なら出なくて結構」という形だったため、開発者側に意見を言う機会がなかった、と思われます。これが先日の21手投了につながっている。

もちろんそういう形式だと、「嫌だから出ない」という開発者も出てきます。実際GPSやNDFなどは出なかったし、やね氏もブログの発言等を見るかぎり、賞金がなかったら出てなかったのではないでしょうか。それでも出た開発者も多かったのは、やはり賞金が大きな要因でしょう。5位でも30万となると、ルールが何であれ出たい開発者は多い。「お金もらうんだから、ルールには文句言わず従う」となってしまったのでしょう。

じゃあ、第1回は開発者は出演料なし、第2回は10万円/チームだったのですが、それが一気に第3回で総額500万になったのはなぜか?というと、実はこれにも経緯があります。次回はその辺について書く予定です。今回と次回、2回ほど裁判から脱線しますが、その後また裁判に戻る予定です。

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コメント

電王戦や裁判における伊藤さんの奮闘ぶりが伝わってきます。
伊藤さんはソフトの事前貸し出しに関しては賛成ですか反対ですか?
第四回電王戦の開発者は
aperyの平岡さんは「不公平なので断固反対」
ponanzaの山本さんは「ponanza強いので何でも大丈夫」
AWAKEの巨瀬さんは「プロの棋力向上に役立てられるなら賛成」

伊藤さんの率直なご意見を聞かせてください。

コンピューター協会の人が、この調整事するんじゃないんだ
電王戦の立ち会いにも出てなかったし、あの人らの立ち位置ってなんなの?

>伊藤さんはソフトの事前貸し出しに関しては賛成ですか反対ですか?

対局の目的によるんじゃないでしょうか。真剣勝負ならば、貸し出しはしないか、もしくは貸し出しはするが、対局結果は開発者側にも見せる、が必要だと思います。ただ第三回以降は既に真剣勝負ではなかったと思うので、人間でも勝てるようにハンディをつける、という意味なら貸し出しはありでしょう。あるいは逆に「バグ取りゲーム」と割り切るなら。もちろん貸し出しを受けておいて、さも真剣勝負のような顔をするのは論外ですが。

将棋連盟が伊藤さん外しをしたがる理由が、まともな事をいうからでしょうね
ルールがおかしいと感じれば指摘して、議論しましょうなんて輩はけしからん
将棋に関しては我々が偉いんだから下々の者は黙って、言う事を聞いて居れば良い
こういった前提から、ルールも玉虫色の自分達が好きなように運用出来る物にしたかったのに、お互いの立場からまともな意見を言う伊藤さんが邪魔でしか無い
自分が将棋連盟内部の人間なら伊藤さんは外しますね、邪魔ですもん、いちいちケチ付けてくる奴も奴も外します、表で揉めれば興行として、話題作りになりますが、裏で揉めても何も面白くなりませんし
環境保持のルールですが、意外とまともな事を言ってると思いますよ、開発者の不正があり得るので、環境を残しておいて再現実験出来るようにしておこうってのは良い事です、ただ、それが個人の持ち物だからめんどくさい事になったんであって、検証出来るようにしておこうって考えは普通です
それに嫌がらせのつもりも無かったんじゃ無いでしょうか?
そこら辺は、もしもガチのコンピュータ将棋対戦が行われる事になった時に再び議論されそうな話題ですね、ガチのコンピュータと対戦する事があるのか分かりませんが

電王トーナメントは
・参加費無し
・ハードは全て主催者側が用意 # 統一ハードなので当たり前ですが
・高額賞金
・朝食/昼食も出る(?)
という破格と思える待遇で、参加者の審査も無さそうなので
主催者にそこまでのリターンがあるんだろうか?と不思議に思ってましたが
その辺の謎が暴かれるのでしょうか。
次回の内容も楽しみです。

伊藤さん。遅れましたが、裁判の全面勝訴、まことにおめでとうございます。この結果は万人の知るところとなり、将棋連盟は内外に大きな傷を負いました。伊藤さんが訴訟というかたちで決着をつけてくれたことは、まことに画期的なことだったと思います。訴訟の過程を通じて彼らがこれほどの醜態を演じ、その情けない姿が白日の下となって終了したのですから、連盟の実相を知る者にとってこれほどの快挙はありません。

将棋連盟が腐臭漂う組織であったのは、別に昨日今日の話ではなく、大山さんや升田さんのころからずっとそうだったのです。将棋のプロ棋士などというのは、実は存在しません。なぜならそれは、国家資格でも何でもないからです。ちょっと将棋が強いだけの博徒の集団が「将棋連盟」なるものを勝手に立ち上げ、お手盛りで自分たちを「プロ棋士」と自称しただけのことで、それ以上のものは何もありません。アマ棋客との実力差なども別になく、気まぐれで真剣師の花村元司さんをプロに迎え入れたところが途方もない大活躍。たちまちA級にのぼったばかりか、六十歳A級をやすやすと達成してしまいました。

これによほど懲りたのでしょう。連盟はアマ強豪に対して疎遠な態度を取りつづけてきました。自分たちの地位を脅かされることを恐れたのだと思います。今でも連盟はへぼ将棋に対しては寛大でも、アマ強豪には極めて冷淡です。それは将棋連盟がお手盛りの相互扶助組織だからであり、アマ強豪は自分たちの安穏な地位を危険にさらす存在だからです。

連盟棋士は、アマとは決定的に棋力がちがう。連盟棋士は地上最強である。そういう誤った幻想を将棋連盟は流しつづけてきました。その幻想を守るためなら、連盟はどんなきたないことだってします。将棋ソフトが弱かったころ、連盟はへぼ将棋に対する優しさと同じ寛大さで、コンピュータ将棋に接していました。連盟の棋士たちは、気安く将棋ソフトとの対局に応じました。大金をよこせとも、ソフトを事前に貸し出せとも、ソフトの更新は認めないとも言いませんでした。それは自分たちの守ろうとする幻想を脅かされる心配が、すこしもなかったからです。

将棋連盟は頭が悪いので、将棋ソフトが自分たちに追いついてくるとは夢思わなかったのでしょう。彼らがかつてコンピュータ将棋に対して示した鷹揚さや寛大さは、彼らの傲慢さと頭の悪さが支えていました。その幻想が破れそうになったとき、彼らの狼狽はいかばかりのものだったでしょう。負けそうだとわかると、ただちに対局禁止令を出し、背くものは追放だとまで言いました。そのうえ禁止するのは、これを商売にしたいからだという誰も信じないようなウソを立ち上げました。

そのあとは伊藤さんもご存じのとおりです。連盟はプロ棋士ですらない婦人を出して自分たちはその陰に隠れ、つづいて引退棋士の米長さんが出て、二度までも惨敗しました。婦人や引退棋士なら負けても、正式のプロ棋士ではないという言い訳ができます。姑息といえば姑息ですが、これ以外の手が思い浮かばなかったのでしょう。

米長さんはああいう人でしたが、それなりの明るさと華がありました。しかし米長さんが亡くなったあとはどうでしょう。そのあとを継いだ者たちの小者さと薄ぎたなさは、半端ではありません。有名作家をつかって開発者を中傷し、裁判で訴えられ、負けて謝罪文を書かされたうえ賠償金を払わされる。恥ずかしさこの上もない醜態です。

今では将棋ソフトと連盟棋士の力の差は、歴然としたものになっています。コンピュータの性能を落とし、ソフトを事前に借り出して長期の「研究」をしないかぎり、連盟棋士側にはまったく勝ち目がないのでしょう。貸し出しを開発者に強要し、そのうえ強要は主催者ドワンゴが勝手にやったことだとして自分たちは火の粉をかぶらない。連盟の体質は、昔からちっとも変っていません。そんなことを信用するのは、よほど頭の弱い将棋ファンだけなのに、その程度の読みも連盟にはないのです。

現在の将棋ソフトと連盟棋士との棋力差は、香落ちか角落ちくらいだと思いますが、遠からず飛車落ちくらいの差になってゆくでしょう。へたをすると飛香落ちの差になるかもしれません。連盟は今なお、将棋ソフトの本当の強さを認めずに誤魔化しているようですが、将棋ファンは皆わかっています。この苦境を、彼らはどうしのぐつもりなのでしょう。連盟棋士のほうが将棋ソフトよりも強い、あるいは互角の強さがある。そう思っている将棋ファンはひとりもいないでしょう。強さだけをよりどころにしてきた者たちは、その強さをわずかでも疑われるとみじめなことになります。ソフトは年々強くなってゆくので、その境涯から自らを救済する手段はまったくありません。

今年の電王戦は半分以上が「ハメ手」と「なぞり」で終わって、ちっとも面白くありませんでしたが、そのつまらない電王戦と比べても、名人戦はもっと面白くない。迫力も緊張感もありません。そのことに多くの将棋ファンが気づいてしまいました。強いという幻想が砕かれ、そのうえ面白みもないと思われては、連盟はいったいどうしたらいいのか。人ごとながら、たいへん気になります。

長文で失礼いたしました。

記事興味深く読ませていただいております。
それで今回は少々別件にて。

以下の文面でやねさんブログにコメント投稿しました。
ーーーーーーーーーー

伊藤さんのブログの最新記事
第2回電王戦における対局ルール決定プロセス

そのコメント欄のトップにありました。

電王戦や裁判における伊藤さんの奮闘ぶりが伝わってきます。
伊藤さんはソフトの事前貸し出しに関しては賛成ですか反対ですか?
第四回電王戦の開発者は
aperyの平岡さんは「不公平なので断固反対」
ponanzaの山本さんは「ponanza強いので何でも大丈夫」
AWAKEの巨瀬さんは「プロの棋力向上に役立てられるなら賛成」

伊藤さんの率直なご意見を聞かせてください。

投稿: やねうら王 磯崎元洋 | 2015年4月22日 (水) 23時53分

ご本人でしょうか?
それとも同姓同名の方なのでしょうか?

ーーーーーーーーーー

それに対するやねさんの回答です。

ーーーーーーーーーー
やねうらお 2015年4月27日 12:37 より:

↑そのコメント、私ではないです。

誰だよ、騙るなよヽ(`Д´)ノウワァァァン

ーーーーーーーーーー
やねうらお 2015年4月27日 13:01 より:

ついでに私は自分のことを本名で呼ぶ(書く)ことは、まずありません。
このブログでも本名を書いたことは一度もありません。
(引用元がそうなっている場合は原文ママとしていますが)
ーーーーーーーーーー

それで、さしでがましい様で恐縮ですが、「投稿: やねうら王 磯崎元洋 | 2015年4月22日 (水) 23時53分」を削除していただく訳にはまいりませんか?
これは特に頼まれた訳でもありませんが、「不要な波風はいらないと考えている第三者からのお願い」であります。
以上、ご一考の程、よろしくお願い致します。

>削除していただく訳にはまいりませんか?

ご連絡ありがとうございます。やね氏本人でないということさえはっきりすれば、削除するには及ばないのではないでしょうか。本人の評価を低下させるような書き込みでもないので。

他人の名をかたるのはあまりよろしくはない、という点は同感です。この辺微妙ですね。ただブログ管理者の立場からすると、あまりなんでもかんでも削除、というのも危険なので、難しいです。

私は、コメント欄の名前はそもそも信用してないです。過去には羽生さんも渡辺さんもコメント書いてましたしw
#で桐谷さんも現われて、「どうせ嘘だろ」と思ってたら本人だったという…

伊藤さん前に回答下さいましたけど「運営を外部の人物に任せてみる」ってのは、この際重要な一手だと思う。
皆さんそう思いません?

・連盟+ドワンゴだけで、コンピュータ将棋側の意見を聞かないならば、満足の行くルールは到底できないと思います。
・「このルールでやります。嫌なら出なくて結構」という形だったため、開発者側に意見を言う機会がなかった、と思われます。これが先日の21手投了につながっている。
・「お金もらうんだから、ルールには文句言わず従う」となってしまったのでしょう。

伊藤さんがお金を出すかお金を出してくれるスポンサーを連れてこれば、解決する問題ですね。

イベント主催者はその内容に関して責任と権限があるわけで、イベントが大成功しても大失敗しても収益損失/社会的評価は主催者に帰属します。例えば、ソフト開発者が(21手で投了しても)責任を問われないのは、主催者が責任を負って内容に決定を下してる(とみなされる)からですね。

口を出したければ共催にして口を出した上で収益も山分けする契約にすればいい。金は出さない、リスクは負わない、口は出させろ、ではビジネスはできませんね

>>「運営を外部の人物に任せてみる」

一将棋ファンからすると、現状に不満はないので(そもそも連盟と接点がない)、変えた方がいいという人がその必要性を論証すべきだと思います。
どこが悪くて、どこをどうすべきか、そして誰が適任か、そしてそれは現状の良さを失わないか、等々です。
現状の良い所と悪い所をとりあえず列挙してみるといいと思います。

なんとなく、変えてみれば良くなるんじゃね?という安易な考えで物事を変えると、先の政権交代みたいになってしまいます。
そういう意味で安易な憲法改正論にも私は組しません。ちょっと話がずれますがw

1つの問題点だけで判断すべきでないのは言うまでもないことだと思います。
もちろん中傷記事を肯定するつもりはありませんし、将棋界がよりよく変わるのであれば外部に任せることには賛成します。

マイナビ電王戦本・・・一人だけ交渉段階でゴタゴタを起こし時間切れ。
第2回電王戦ルール・・・一人だけ交渉段階でガチンコを仕掛け関係者の仕事を増やす。

ユニークであったり、正しく筋を通す=融通が聞かないこと自体は悪いことではない。だが、自分はユニークな人間という自覚はあったほうがいい。

筋が通っていようが(実際筋は通ってる)、仕事を増やす人は嫌われる。

本心はどうあれ、嵌め手を選択した阿久津をフォローした(かばった)ポナ山本はビジネスマンの鑑である。

ツイッターを拝見して思ったのですが、
伊藤さんの好きなアニメはアニメーター等の劣悪な条件下での労働のたまものなので、抗議の意味を兼ねてアニメ視聴休止宣言をされてはいかがでしょうか?

前提が前提なら一理ありますが、伊藤さんはビジネスに噛んでないですから。
山本さんが連盟とビジネスをしているのはあなたの仰る通りですが。

富士通研究所の社員としてなら、(連盟にいい子いい子してあげるとか)
もう少し「大人の対応」をしたのでは。

>ポナ山本はビジネスマンの鑑である。

ブラックジョークならごめんなさい。
確かに将棋ウォーズ勤務の山本氏は”ビジネスマン”の
鑑であります。連盟への、へつらい度は他を抜いており、
技術者・開発者・研究者としての矜持・威厳が足りない
と私は強く感じております。

世界選手権、優勝出来なくても、不機嫌になって泣かないでね。

伊藤さんは趣味でやってる、ビジネスじゃないというなら
それこそビジネスでやっている人間の立場をもっと考慮するのが
大人の対応だろうって思ってしまいますけど。

山本さんは目的・目標に確実に迫ってますよね。

私の考えるいちばんいいルールは5人VS5台の合議試合です。1:1の場合、貸し出しなしだと一方的に人間が負けて興ざめなことになるし、貸し出しありだと勝ち手順の披露会にしかなりません。貸し出しなしの一発勝負の合議が一番白熱した勝負に成るとおもいます。それに人間が負けても一人で負けた訳じゃないから痛みもすくない。

伊藤さんは、羽生さんと無制限コンピュータとの頂上決戦についてどう思われますか?

1) やるべき
2) やらないべき
3) もう遅い

私は1)です。

勝負としては、3)もう遅い、でしょうね。今となっては羽生さんといえども、一発くらい入ることはあっても番勝負ならまず勝てないでしょう。まあ結果は見えていても、一度はやって決着をつけるべき、という意見もわかりますが。

ただ、まず勝てなくなった今だと逆に、「負けるとわかっていても戦いを挑む。そして玉砕する」という路線で売る、という手はあるかも。日本人には支持されるような気がします。これは羽生さん人気がまた爆上げするかも。でも連盟は「負けるのは恥」に凝り固まっているのでまずやらないんだろうなぁ…

お返事有難うございます。

・将棋はピュア日本の形を保てている珍しい分野である。
・羽生さんは将棋の歴史の中で「突出した実績を持つ人」である。
・将棋は「知的作業の分野」である(限定的かも知れないが)。
・今後「人工知能と人間の関係」が日本に於いても重要なテーマになるのは明白である。
・伊藤さんの仰る通り「日本人に支持される」終幕の形が残されている。

そんな事から、羽生さんと無制限コンピュータとの頂上決戦を実施し、「日本の出来事」として記録して頂きたいと考えます。
相手は「東大」や「富士通」であったら申し分なくサマになりそうですが・・

wcscのライブラリ問題について、伊藤さんの率直な
考えをブログに書かれては如何でしょうか?
コメント多く集まるでしょうし、いい効果あると思います。

ライブラリの件は、だいぶ前から議論してるんですよ。2009年くらいからだったかな?で、既にブログにも何度か書いてて、私の考えはその時から基本的に変わってないです。このあたり↓
http://aleag.cocolog-nifty.com/blog/2011/06/post-adc7.html
http://aleag.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/rybkagate-ceb6.html

簡単に言うと、私は「一切規制すべきではない」派です。

5年も前に表明しておられますね。
失礼致しました。

いえいえ、だいぶ昔の記事ですから、読んでない人がいるのも当然ですよ。

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