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はじめてのさいばん

さていよいよ裁判ですが、その前に前回提訴の費用について書き忘れたのでまずそれを記しておきます。

弁護士さんからの請求書が以下です。提訴前の段階と裁判終了後の2回、実費明細を受け取っています。

訴訟費用明細(提訴前)

訴訟費用明細(終了後)

Meisai2


提訴にかかる費用としては、証拠作成の費用と裁判所に支払う費用があります。今回の場合、大半は雑誌やウェブのコピーなのでこれらはほとんど費用かかりません。ニコ生の感想戦の書起しで約1.5万かかっています。

裁判所に支払う費用は、手数料と予納郵券があります。手数料の方は、請求する賠償額によってこの表のように変わります。今回は「訴えの提起」の列。この額がわかると請求額もわかってしまうので、この数字は伏せています。予納郵券の方は、裁判所から何かを郵送する際の切手代をあらかじめ(多めに)払っておくものです。裁判終了後、使った分を差し引いて残りは返ってきます。額は、細かい情報はぱっと見当たりませんが、こちらにざっと書いてあります。私の場合は6千円強。差し引き分が返ってきた後の金額です。

#話飛びますが、↑このURLの弁護士さんは、着手金が交渉20万、訴訟30万みたいですね。これで「庶民派」?やっぱうちの弁護士さん、安かった…

結局私が、最初から全部含めて支払ったのは、弁護士費用が10.5万、プラス上記の裁判実費(訴訟手数料除く)4万弱、の計約14万に、訴訟手数料と弁護士報酬金(賠償額の10%)を加えたものです。裁判にかかった「全コスト」という意味では本来私がかけた時間の人件費まで含めるべきでしょうが、まあそれは置いとくとすると、とにかく持ち出しのお金はこれだけでした。で賠償金を得て、結局、ええと、「損はしていません」。

#得をしたともしてないとも言ってませんのでご注意。「マイナス(損)ではない」=「プラマイゼロ、またはプラス」ですが、ゼロなのかプラスなのか、プラスならばいくらプラスなのか、は公言してはいけない、「損はしなかった」としか言えない、という条項になっていますので。

なお、提訴する際、地方裁判所にするか簡易裁判所にするかという選択肢があります。ある種の民事案件は簡易裁判所でも扱えます。詳しくはこちらを参照。簡易裁判所だと、損害賠償の場合、140万円までという制限があります。140万以下でも簡易裁判所で「なければならない」わけではなく、少額でも地方裁判所にすることもできます。私は今回は地方裁判所に提訴しています。簡易裁判所だと費用どうなるのかな?ちょっとわかりません。まあ地裁より高いことはないと思いますが。

以上、費用の話終わり。

さて、裁判所には全部で10回行きました。2月、4月、5月、7月2回、9月、10月、11月、12月2回。8月は裁判官氏が夏休みだそうで、無し。話がまとまりかけてた最後の3回くらいは2、3週間程度の間隔でしたが、他は最低でも1か月、時には2か月近く間が空きました。この理由は、たいてい1回の話し合い(業界用語で「裁判期日」というらしいです。これもちょっと一般の感覚だと違和感があるんですが)が終わると、次回までになにがしかの書面(主張なり反論なり)をまとめることになりますが、この準備に1か月は必要だろう、というわけです。(7月の2回めだけは1か月弱だが、ここは夏休み前にやるため目をつぶった。)たしかに、示談交渉の時のマイナビのレスポンスの遅さを考えると、そのくらいは必要なのでしょう。で、最低1か月は間を置く、としたうえで、毎回の「裁判期日」の最後に次回の日時を決定するのですが、このときにまた裁判官と双方の弁護士の予定をすり合わせると、1か月ちょうど後くらいの時にはなかなかうまく合わないので、1か月半とか2か月とかになるわけです。…という事情はまあわかるのですけど、早く片を付けてしまいたいと思っていた私としては、また示談交渉時以上に進みの遅さにうんざりすることになりました。まあこの頃にはもうスピードに関してはほとんど諦めモードでしたが。

弁護士は最初から最後まで同じ顔ぶれですが、裁判官は1回めの2月と2回め以降で変わっています。これは裁判所で人事異動があるためです。毎年4月に変わるそうです。まあ下記の通り、1回めはほとんど何もしてないに等しいので、今回の裁判では裁判官交替の影響はほとんどありませんでした。これが、たとえば10月くらいから裁判を始めて、いよいよ議論が白熱してきたときに裁判官が交替して一から説明し直し…とかになると相当疲れると思うのですが、どうなんでしょう。また、今回は1年弱で終わりましたが、1年以上かかるようだとどうなるんでしょうか。この辺よくわかりません。同じ裁判官が担当してくれたりしないんでしょうかね。でも地方に転勤とかもあるみたいだし、無理なんだろうな…

今回は裁判官は3人でした(合議制、というそうです)。小さい事件だと裁判官1人が普通なんだとか。この事件もまあ大事件とは言えないと思うんですが、どうして合議になったのでしょうね。被告が大企業や公益法人だから、とか関係あるんでしょうか。ただ、裁判官が3人出てきたのは最初の2回だけで、3回め以降は2人。それも、ベテランと若手の組合せで、若手の方はほとんどしゃべらなかったので、実質1人で仕切っていたようなものですが。

弁護士さんに委任しているならこちらは出席する「必要」はなく、弁護士に任せっきりでもかまわないそうです。実際、被告側の方は当事者は1回も出てこなくて、弁護士だけでした。ただ私は、せっかくだから裁判というものを見てみよう、そしてブログにレポートを書こうとこの時から考えていたので、都合のつく限り自分も出ようと思っていまして、結局10回全部行きました。そのぶん年次とったり午後半休とかとりましたが、そのおかげでいろいろと体験できてよかったと思います。まあ私の勤務先はその辺割と融通がきくので、中にはそう自由に休めない人もいるでしょうが。また、私自身が出たことによって、弁護士さん任せだと裁判所の話し合いでは結論が出ず持ち帰りとなり、後日弁護士さんが私と相談してから回答、みたいなことになるため、進行は若干遅れただろうと思われます。実際には私がその場でいろいろ決断して方針を決めていったため、多少裁判終了の早期化には寄与したかと思います。

東京地方裁判所はここにあります。1日年次取って行くと裁判前後は暇なので、皇居一周散歩したり、裁判期間中にオープンした虎ノ門ヒルズを見に行ったり、とかしていました。

裁判所の入り口は関係者用と一般用に分かれていまして、弁護士さんはバッジを見せて関係者用から入りますが、私は一般用です。一般用の方は、空港みたいな荷物検査があります。バッグを預けて、ゲートを通る。

できれば裁判所の様子を写真なり動画なり録りたかったのですが、前に書いたとおり法廷には「録音・撮影禁止」とありまして、できませんでした。よく裁判の記事とかで写真でなく似顔絵を見ますので、まあそういうものなんだろうなとは思ってましたが。でもこれ、なぜ禁止なんでしょうかね。裁判記録自体は公開で、書類は誰でも閲覧できるのですけど。書類公開しといて写真はだめってのも理由がよくわからないような。そりゃ性犯罪みたいのだと公開はまずいでしょうけど、原則撮影OKでいいんじゃないかな、と思うのですが。この辺も、日本の司法制度の閉鎖性が表れてるのかな?などと考えていました。

10回の期日のうち、最初の2回は法廷で行いました。これは傍聴しようと思えば誰でもできます。後の8回は「準備手続」と言うそうで、法廷ではなく、会議室みたいなところで行いました(準備手続室、と言うらしいです)。これは非公開で、傍聴できません。

ググったところでは、準備手続というのは本来はその後に来る口頭弁論のための文字通り準備の会議らしいのですが、今回の裁判では準備手続ほぼイコール和解協議、でした。和解が成立したため、口頭弁論はやっていません。

第1回の裁判の様子は以前こちらの記事に書きましたのでご参照ください。様子は大体ここに書いた通りです。事前に届いた被告からの書面だけ貼っておきます。

連盟側書面:

Toubenrenmei1b


Toubenrenmei2


マイナビ側書面:

Toubenmynavi


ほんとに、大したことは書いてないです。第1回は顔合わせだけで、論戦は次回から、という感じ。

以前紹介した「裁判長!ここは懲役4年でどうすか」という本で、傍聴マニアの人がいろんな裁判を見てまわる、という話がありましたが、あれちょっとよくわかりません。というのは、少なくとも私の裁判の場合、傍聴しててもおそらく何もわからないからです。当事者たち(裁判官、被告、原告)は事前に訴状や準備書面を見ていて、それを前提に話をするので、訴状の内容をいちいち読み上げたりはしません。ですので、訴状や準備書面を持たずに傍聴しても、話が全く見えないはずです。たとえば訴状に関しては、

裁判官「原告側から訴状が来ていますが、(うちの弁護士さんに向かって)陳述しますか?」
うちの弁護士「陳述します」

という感じ。私もよくわかってませんが、まあたぶん、「訴状の通りの主張をする、ということでよろしいですね?」「はい、そうです」というような意味なんだと思います。なので、訴状見てないと何がなんだかさっぱりわかりません。

「裁判長~」本の人は、そこどうしてたんでしょうかね?この本はゼロ年代前半くらいの話ですが、その時から制度変わったのかな?それとも、事前に訴状とか入手したんだろうか。私もこの辺詳しくないのですが、ざっとググったところ、申請すれば入手できるそうですが、訴訟番号とかを知らないと入手できないはずです。事前に番号を知るのは、当事者の知り合いでないと無理。当日ならば、裁判所に開廷表というのがありまして、それを見ればいちおうわかることはわかります。東京地裁ともなると開廷表は相当ぶ厚いので、全部見るのはかなり大変だと思いますが。それで番号がわかったとして、それから申請して裁判に間に合うように訴状等が見れるのかもわかりません。お役所だから、そんなにすぐには見れないんじゃないかなぁと思うのですが… まあ私もこの辺よくわからないので、あまり突っ込まないでおきます。

第一回期日の後、求釈明については弁護士さんと相談したうえ、以下のように回答しました。

Kyushakumeikaito


方針としては、この求釈明が何を意図したものかがわからないため、相手の出方を封じるため、とにかく出来るだけ情報は出さない、実質何も言わない、こちらの考えも今後の行動も明かさない、というのを目指しました。別にむこうの疑問に正直に答える義理はまったくないので。ただ、新潮記事は問題ないと考えていると取られると、「じゃあこっちだって問題ないだろう」ということになるので、新潮にも憤りは感じている、ということは表明した方がいい、と弁護士さんに言われ、その点は入れました。このあたりからもう神経戦が始まっています。

求釈明以外はこちらとして特にアクションもないし、新しい材料もないので、基本は次回の第2回まで待つことになります。というわけで、次回は第2回の様子をお送りする予定です。例の「ソースは2ch」の被告側準備書面も全文を載せる予定ですので、お楽しみに。

(4/3 一部訂正)「公判」という用語は刑事のもの、とコメントで指摘をいただきましたので、訂正しました。

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コメント

刑事裁判は、民事裁判のように書面のやりとりで終わるようなことはなく、被告人がでてきて、検察官の起訴状朗読、被告人の認否、証拠調べ、証人尋問など民事よりはドラマチックなので、「裁判長!・・・」という本が成り立つのだと思います。

ところで、ソースは2chというのは以前から妙にとりあげてますけど、そんなに変ですか?
裁判という厳格なイメージのせいかもしれませんが、別に2chを証拠に出すこと自体問題はないと思います。
2chにおける業務妨害、名誉棄損事件では必ず申請されるでしょうし。
伊藤さんの主観を抜きにしてみれば、連盟側弁護士から申請があり、裁判官も受理してます。ただそれだけですよね?

たぶん、伊藤さんは2chに精通されていて、そのクダラナサを身をもってご存じだから、こういう評価になるのかなあと思いますけど、
一般人はそこまで詳しくないですから、その辺に感覚の違いがでたのかなとも思います。

連盟の指し手の一部に手抜きしているようなイメージですね。
さりげなく、可能な限り有利なところへ論点を誘導するのはさすがというか、弁護士ならではのテクニックですね。

そもそも民事と刑事は大きく手続きが違います。ちなみに公判というのは刑事事件で、民事事件は口頭弁論と呼びます。
 刑事の特徴は原則としてすべて証人に法廷でしゃべらせる、あるいは提出する証拠(調書など)も、少なくとも概要は読み上げるルールです。だから傍聴人は法廷にいれば詳しい内容がわかりますが、その代わりに裁判資料は裁判所で閲覧できません(ほかに手続きはありますが大変ハードルが高い)。民事は伊藤さんが経験されたように、基本的に証拠提出が認められればその時点で読み上げたものと看做されます。もちろん傍聴者は何が何だかわからないわけです。
 公判、口頭弁論はいずれも公開が非常に大事な原則です。そうした状況を補足するため民事は閲覧可能なのではと思います。
 もちろん、民事も書面だけでなく、内館氏を証言台に立たせるようなことも可能です。ドラマで出てくるような駆け引きは証人尋問という形で行われますが、裁判所、伊藤さんの代理人とも判断を決めるのにそこまで必要ないと判断したのでは。
 かつては(といっても10年ほど前)、民事でも3~5年ぐらいかかる事件はざらにありました。長期化が社会的問題となり、裁判官の考課でも事件処理のサイクルが考慮されるようになり、改善はされてきました。
1年弱というのはそれに比べれば短い方かと感じます。最近の状況がわからないので自信はないとこですが。
 ちなみに裁判官は3年前後は同じ地方裁判所にいるため、越年度しても引き続き事件を担当するのが基本です。合議ともなれば全員が変わることはありませんし、転任してきた裁判官もふつうはしっかり記録を読み込むので、水の泡ということはそうありません(ないことはない)。
 年度末に異動が予想される、もしくは内定すると、その裁判官の持っている事件の判決が相次ぐこともあったりします。立つ鳥跡を濁さず。
 法廷内では写真撮影どころか、一般の傍聴人がメモを取ることさえ許さない、という事例までありました(現在はそんなことはありません)。基本的には裁判官が判断すれば、どんな制約でもかけることができます。
閉鎖的に感じるのは当然ですね。
 あと、その弁護士費用は本当に安いです。事件概要を聞いてそんなに手間がかからない、勝訴の可能性が高いということも込みなのか、あるいは事務所維持費用がそんなにかかっていないかなのでしょう。それとも弁護士増加で価格破壊が起こっているのか…

taoQianさん

情報ありがとうございます。とても参考になります。こういう話、ググったくらいじゃなかなか実態わからないんですよね。

泣いた理由は2chに書いてあるからその通りなのだとか
つまらない将棋は失礼、と2chに書いてあるからその通りなのだ
ってのは普通に考えればあり得ない
誰でも書ける掲示板の書き込みが一般的な事でまっとうな主張なんて事がまかり通るなら
複数IPで特定の人物を論って、複数の人がこのように主張してるから、世の中はそのように思ってるんだって、簡単に工作できる
2ch自体に名誉毀損の内容が書いてあるなら2chが証拠になるのは当たり前
今回の件とは全然違うんじゃ無いでしょうか

low様
「一般人はそこまで詳しくないから」ってジジババサマ=一般人ですか?
今時の「一般人」はだれでもが、2chはゴミタメだって知ってますよ。
こんなもん名誉棄損の正式裁判に証拠として提出するのは、
バカじゃねえの、気が狂ったんじゃねえの、と思いますね。
↑の方のコメントのように2ch自体に名誉棄損の内容が書かれているなら、2chが証拠になるのは当然じゃありませんか。
次回が待ち遠しい!

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