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連盟、ルサンチマンを爆発させるも裁判所に無視される

第2回裁判期日は13年4月に行われました。その少し前に連盟およびマイナビから、彼らの主張を記した準備書面が届きました。その内容について、以前の記事「裁判第2回」でも多少触れましたが、今回はもう少し詳しく見ていきます。

まず、被告から届いた準備書面を載せておきます。量が多いので、zipファイルに圧縮しています。マイナビのと連盟のとに分かれており、それぞれにフォルダが複数あります。例によって一部編集するため、ページごとの画像ファイルになっていて、続けて読むにはやや見にくい面もありますがご了解ください。連盟の方の8-11ページが抜けてますが、ここは以前載せたこちらを参照ください。

マイナビ1-4ページ

マイナビ5-8ページ

連盟1-3ページ

連盟4-6ページ

連盟7-13ページ

連盟14-16ページ

どちらも、最初にまず訴状の各部分に対して、認めるか、否認する/争うか、を明記しています。「請求の原因第2の1記載の事実」のようなのがそれぞれどれを指すのかは、訴状と対比させて見ていくしかないです。訴状は前回の記事に載せていますので参照ください。

細かく段落を分けて番号を振った文章になっていますが、このように後から特定の部分を参照しやすいように、ということなのでしょう。特許の文章ともやや似ていますね。

【マイナビ側書面】
マイナビの方から見ていきますと、主要な部分はすべて「否認する/争う」で、全面対決の姿勢を見せています。マイナビも全く反省する気がないようです。

4ページめ上から2行めで、訴状で「なりふり構わず入玉を目指した」とある記述について、「原告は一方的に侮辱するような表現を用いており……原告が非礼な態度をとっていることの証左である」としています。でもこの「なりふり構わず」という表現は、こちらの証拠にも使われ、また前回の記事でも紹介した、他ならぬマイナビの電王戦記事にあったのをうちの弁護士さんが借用して訴状の文面作ってるんですよね。

つまりマイナビはダブルスタンダードで、自分たちが「なりふり構わず」と書くのは何も問題と思わなくとも、私が書くと「侮辱だ!」と大騒ぎしているわけです。言い換えると、本当に表現が侮辱的だと怒ってるわけじゃなくて、要するに私が憎くて貶めたい、そのためには、言葉尻でも何でもとらえて、とにかくアラを探して文句をつけて私を悪者にしたい、というだけなのです。そんな状況なので、こちらとしてはこんな批判にはまったく耳を貸す気もしません。ただまあ、とにかく私が憎くて憎くてしょうがない、という彼らの気持ちだけはよくわかりました。

「裁判第2回」記事にも書きましたが、名誉毀損の被告側としては、名誉毀損ではないと主張するためには大きく2通りの方向があります。

1)そもそも記事の内容が侮辱や名誉を毀損するものでない
2)以下の3条件を満たすならば名誉を毀損しても不法行為にならない
   ・摘示した事実が公共の利害に関する事実であること(公共性)
   ・その事実を摘示した目的が公益を図ることにあること(公益性)
   ・摘示した事実が真実であること・真実であるとの相当な理由のあること(真実性)

4ページ下部、第2の1(1)では、「原告の社会的評価を低下させるものではない」と、上記の1)の方向の主張をしています。ですが、「教養がない」と書いておいてさすがにそれは裁判官に通用しないでしょう。実際この方向の主張の記述はほんのわずかで、そのすぐ後、5ページ上部の「2 真実性の抗弁」で、「仮に原告の社会的評価を低下させるものであったとしても~」として、上記の2)の方向に転換しています。まあ、1)の方向が通用しないことはさすがに自覚していたのでしょう。

ただ2)の方向も、「注目を集めていたから公共性がある」というのはいかにも苦しいですね。単に注目を集めるだけでは「利害」ではないので。「原告の発言・態度は、将棋ファンのみならず、一般人にとっても影響力が大きく、社会的に重大な関心事項」という点については、後で連盟の方とまとめて論じます。まあとにかく、2)の方向についても、非常に根拠の弱い主張しかしていません。というか、主張のしようがなかったでしょうね。論拠が見当たらない。

結局和解では、謝罪の必要性が認められた、つまり名誉毀損の事実が認められたわけで、全面対決の姿勢を見せたマイナビでしたが、彼らの主張は裁判ではほとんど認められませんでした。

【連盟側書面】
続いて連盟の方ですが、ご覧の通り、これほんとに裁判の書面なのか?と思うほど、私個人に対する呪いと怨嗟に満ちた内容でした。細かく見ていきましょう。

まず彼らの提出した証拠は、乙イ1号から7号までありました。1号から5号は、示談交渉時のやりとりの内容証明郵便やFAXです。以前の記事に載せていますので今回は割愛します。6号は、対局日とその前後の私のツイッター @aq3948 のログです。

7号が2chのスレッド "伊藤「つまらなかった。まともな将棋がやりたかった」" の全ログ(1000発言)です。過去ログはここから見えるようです。私はアホらしくて最後まで読む気しませんでしたがw

準備書面の文面の方は、まずとにかく、読みにくいですね。文章がだらだらと長く続き、「結局何が言いたいの?」と思うような文章です。ちょっと弁護士の文章作成能力が疑われるレベル。ですがガマンして読んでいきます。上から、目のついた順にコメントしていきます。

まず上記の方向1)、2)について言うと、1)の方はそもそも言ってないようです。さすがに無理と思ったか。2)の方にしぼったようです。

いきなりあまり本題と関係ないのですが、2ページめ真ん中辺、「将棋世界の発行部数が20万部とする事実については認否を留保する」に吹きましたw 「週刊将棋・将棋世界 広告出稿のご案内」にあるように、連盟&マイナビは「将棋世界の発行部数は20万部」と宣伝しており、その発行部数を基に広告料金を設定して徴収しています。その部数の数字が嘘となれば、これは明らかに詐欺ですね。認否を留保するということは、「真実だとは言えない」から、と考えざるをえません。つまり連盟&マイナビは嘘であると知っている、と考えられます。裁判所で嘘を言ってそれが後でばれるとまずいので、真実だとは言えない。だが部数を宣伝している以上、嘘だと認めることもできないので、残された唯一の手段として口をつぐむ、しかないわけです。ここ、求釈明でツッコんでやろうかと一瞬思いました。まああまり裁判の本筋に関係ないので控えましたけれども。

3ページめ最下部、「感想戦のインタビューという狭い時間的場所的範囲に限定~」とあり、後で5ページめ真ん中辺で「時間的場所的に限定した短絡的な話題ではなく、原告の礼儀・礼節の姿勢がテーマである」と主張します。この点は、裁判官から明確に批判されました。「何だかいろいろ書かれていますが、具体的に原告のどの発言/行動が非礼だと考えるのかがわからないので、その点を明確にして書き直して下さい」と言われていました。大体、裁判所が一個人(私)の「礼儀・礼節の姿勢」という漠然としたものを裁判で審理する、などというバカなことをやるわけがありません。裁判というのはあくまで、具体的な対象に対してその合法・違法を審理するもの。そのくらいは法律素人の私ですらわかるのに、一体この弁護士は何を考えているのか?本当に裁判というものがわかっていないのか、それとも主張をサポートする論拠がどうしても見つからなかったため、苦しまぎれに持ち出したのかわかりませんが、とにかく私はこれを見たときは「何なんだこの弁護士は…」と呆れていました。

7ページ真ん中辺、「対局中に見せた退屈したような態度、対局中に頻繁にツイッターを更新していた様子、対戦中…の表情、態度などとも相まって~」 もう何を言いたいのか全くわかりませんがw、とにかく何でもかんでもインネンつけようとしている感じです。しかも「退屈したような…表情、態度」と書いておいて、その証拠も出さない。証拠のないものを裁判官が信用するわけがありません。ほんとにこの弁護士、裁判の意義わかってるんでしょうか。さすがに司法試験通ってるんだからわかってないはずはないのですが、だとすると、連盟から「これこれは絶対書いてくれ」などと頼まれて仕方なく書いたのでしょうかね。

8ページから、2chログの件は「裁判第2回」記事にも書いたのでそちらを参照ください。しかしこの下り、何度見ても笑えますw 当然ながらこの2chの証拠、裁判官にはまったく黙殺されました。裁判官も、内心は「何でこいつらこんなもの出してくるんだ」と呆れてたんじゃないかと思います。

13ページ最下部からの「交渉経緯」。これも何を言いたいのか、そもそも名誉毀損に絡む事実と関係がない。裁判官から「話がそれている」とはっきり批判されていました。

そういうわけで交渉経緯の部分は裁判の本題には関係ないのですが、事実誤認(というより、意図的な歪曲)が多く見られるので一応コメントを続けると、

13ページ上部 「被告内舘において…侮蔑する意図はない、誤解を招いたとすれば遺憾」これは前も書きましたが、「教養がない」と書いて「侮蔑する意図はない」は通りません。つまり、誤解ではなく、明確に意図的に行われています。その点を認めないならば謝罪ではなく、単なる責任逃れの言い訳です。また「被告内舘において」ということは連盟は謝罪しないということで、これも連盟の責任逃れです。

14ページ(2) 「金銭の支払いに拘泥」前にも書いたとおり、民法では金銭での解決が原則です。中傷でこちらに社会的損害を与えたのだから、金銭を支払うのは当たり前。正当な要求です。その正当な要求を「拘泥」などと批判的な表現で、さも自分らに支払い責任はないように言うのは、むしろ連盟が「金銭の支払い*拒否*に拘泥」していることに他なりません。この後も、「金銭に強い執着」「金銭に強いこだわり」等、類似の表現が何度も出てきます。このあたりの偏執ぶりが逆に、金銭の支払い拒否に強くこだわる連盟の姿勢をうかがわせます。

同じく14ページ(2) 「繰り返し面談を要求」明らかに事実と違います。示談交渉の経緯については以前の記事で詳しく書いてますのでそちらをご覧いただけばわかると思いますが、面談を提案したのは1回だけです。それを拒否してきたので、確認の意味で「面談は和解の必須条件なので、拒否だと提訴することになりますが、それでよろしいのですね?」と返しただけです。それに対して拒否の確認が取れたら、その後は連盟とは接触していません。これを「繰り返し要求」と表現するセンスには驚かされます。まあ裁判官に私が悪者だと印象づけたいために最大限に誇張した表現を使ったのだろうとは思いますが、裁判官というのは事実を重んじる人たちですので、このように明らかに事実と異なる表現をしたのは、たぶん逆効果で心証悪くしただけではなかったかと思います。

14ページ(3) 「連盟が原告を批判する意図を持って内舘に記事を書かせたという思い込みをしていた模様だった」これも、むしろこちらが「なぜ、『こちらがそう思い込んでいる』と連盟は思い込んだのか」が知りたいです。やっぱり痛い所を衝かれた、と思ったのかな?

14ページ最下部 「一流スター棋士……仮に面談が実現されれば、原告は将棋ファンのみならず世間からも高い注目を受け」 はいはい妄想乙w これも「裁判第2回」で書いたのでこれ以上コメントしませんが、見るたびに笑えるところです。

15ページ(4) 「被告マイナビに対し取引を要求した」 マイナビとの交渉は以前に書きましたが、ざっとはしょって書いていたので、この部分はちょっと補足します。マイナビ法務部は、交渉開始当初は柔軟姿勢を見せていて、賠償金支払いもありうるような姿勢を見せていました。それで、仮にマイナビは謝罪&賠償支払いするとして、こちらとしては連盟にも謝罪させたい。ただ連盟は強硬姿勢で、こちらとの交渉が決裂した後だったので、もしマイナビ側が、連盟が謝罪に応じるよう説得してくれればこちらとしてはありがたい。しかし、ただ「説得してくれ」とマイナビに頼んでも、むこうはそんな努力をする理由がないので、マイナビが説得に成功したら得をするようインセンティブを与える必要がある。そういう意味で、「連盟/内舘氏がこれこれに応じるよう説得してくれたら、賠償金をこれだけ減らす」のような提案をこちらからマイナビにしたのは事実です。結局マイナビは後で「やっぱりダメ」と言ってきたのですが。
 ただそれが「言いたい放題の驚くべき独りよがり」「被告にとって屈辱的」になるのがまた意味不明ですけど。なんで減額してもらって屈辱的なのか?彼らの思考回路はまったくわからないです。

16ページ 3 「原告を不快にさせたのならば…お詫びを掲載する考えがある」 上に書いたとおり、この内容では不十分ではありますが、まあ全くお詫びを拒否するわけでないという点ではやや柔軟姿勢を示しているようにも一見見えます。おそらく、柔軟姿勢を裁判官にアピールするためにこう書いたのでしょう。ところがだいぶ後(14年11月)になって、和解交渉の途中で連盟弁護士は「我々には謝罪する必要はないと考えている」と口走ります。つまり、この書面で見せた柔軟姿勢は裁判官アピール用の単なるポーズで、実際には心にもないことを口先だけ言っていたことが後で判明しました。

…とまぁ、以上のような書面でした。全般に、裁判に提出するレベルの書面ではないですね。具体的言動を指摘するでもない、証拠を示すでもない。なんのことはない、個人的な怨嗟をずらずら書き連ねているだけ、です。しかもところどころ嘘や誇張が混じっている。とどめに「ソースは2ch」www こんなものを提出して、裁判官の同調を得られると本気で考えていたのだろうか?なんというか、将棋連盟という団体の見苦しさ、幼稚さが如実に現れた書面でした。これを最初に読んだ時の私の感想を一言で言うと

何考えてんだ、こいつら?

です。まあ裁判の途中だったので、「ああ、これなら勝てるわ」と安心した面はあったのでこちらとしてはありがたかったと言えばそうなのですが、とにかくあまりのレベルの低さに、失笑を通り越して唖然としていました。

ちなみにコメントでいくつか「連盟の悪口書くと訴えられますよ」というのをいただいていますが、大丈夫です。公共性、公益性、真実性満たしてますんで。真実なのは間違いないし、なにしろ連盟は公益法人で、税制優遇受けてますから。こういう団体を優遇すべきではない、それによって国の借金もわずかながら減る、という話なので、公共の利害に関する、公益を図る話です。

しかしこの書面、まあ「バカじゃねーの」で終わってもいいのですが、ここまでひどいと逆に「なんでこんなになってしまったのか?」と推測してみたくなります。

まあとにかく書面から感じるのは、私に対するあり余るほどの憎悪、ですね。たしかにいくつか軋轢はあったので、あまり快くは思われてないかもとは思ってました。が、どれも元々はむこうが理不尽なことを言い出したのが原因で、こちらには一切落ち度はないので、こちらは深く考えてませんでした。こちらに落ち度があったのなら気に病むこともありますが、落ち度がないのならば、仮に恨まれたとしても逆恨みなので、そんなものほっとけばいいだろう、というふうに私は考える方です。ですが、想像以上に連盟側(谷川会長なのか、どの個人なのかは知りませんが)は私に対して深い恨みを抱いていたようです。

とはいえ、その恨みの深さは尋常ではなさそうだし、また他のソフト開発者と比して私だけ突出して連盟から恨まれているようなので、それはなぜだろう?と考えるに、おそらく以下の2点ではないかと推測しています。

A) 「ソフトが名人を超えた」事実を初めて連盟につきつけたのが私だった
B) 私の姿勢や態度が「将棋文化を軽んじている」ように連盟の目には映った

まずA)の方。言うまでもありませんが、技術的な面から言うと、私が一人で名人を超えたわけではありません。もちろんクラスタ並列技術の開発等、私もそれなりの貢献をしたつもりではありますが、コンピュータチェスの先人たちやBonanza保木さんはじめ、「巨人の肩に乗った」面が大きいです。ですから、私が「名人を超えるソフトを開発したから」連盟が私を憎んでいる、というわけではないでしょう。

しかし、ソフトが名人を超えた事実を、広報・宣伝的な意味で「初めて連盟につきつけた」、のは間違いなく私でした。連盟が初めてソフトを本当に名人を脅かす存在と認識したのは、11年のボンクラーズの24参戦、および米長宅に貸し出したボンクラーズとプロが指したこと、の2点が最も大きかったでしょう。それまでは、プロ棋士の誰もが「ソフトはまだまだプロには及ばない」と認識していた。実際には、2010年のあからはボンクラーズとそう大きな棋力差はなく、あからでも中位プロくらいの棋力はあったはずです。ですがあからは、「目先の対清水戦に勝つ」ことの一点のみに集中し、「ソフトの実力を世間に示す」ために具体的に行動することはなかったですし、実際に対清水戦に勝利した結果のインパクトも、それなりにはあったものの、やはり対女流の、しかも一局だけの結果では、プロ棋士の意識を大きく変えるには至りませんでした。

これに対して、以前の記事に書いたとおり、ボンクラーズの24参戦は、明確に「ソフトの実力を世間に示す」目的を持って行ったことであり、実際にその目的を十二分に果たしました。米長宅のボンクラーズとプロが指したのはこちらとしては想定外ではありましたが、結果としてはプロがソフトの実力を認識するのに大いに貢献しました。

更に、12年12月には、PVで私が「ソフトは名人を超えた」と発言しました。15年の今振り返ると、私のこの発言が正しかったことは、一部の狂信的な人たちを除いて皆さんが認めることと思います。ですが当時はこの発言は多くの人には受け入れられなかった。11-12年ころ、ソフトとプロ棋士の比較を誰よりも真剣に検討し、情報を収集したのは、第1回&第2回電王戦に出場した私でしょう。立場上、他の人が知らない情報を入手できた面もありました。その結果、私は他の人より若干早く真実に到達できたに過ぎません。

将棋において、対局を通じて実力を示す、対局結果から実力を推定するのは、わざわざ言うまでもないほど当然のことです。ですが、連盟は、私のその当たり前のことに対して、自分たちを脅かすものとして嫌った。しかし将棋の世界で、対局結果で示される実力を認めないことぐらい愚かなことはありません。プロ棋士ならば誰よりもそのことをよくわかっているはずと思うのですが、なぜか会長および一部の理事はそれが認められなかった。認めずに、その事実を明らかにした私を憎んだ。なぜなんでしょうね。本当に不可解です。結果として、「ソフトに勝てないから、腹いせに開発者を中傷して嫌がらせをした」とファンからも思われ、最悪の醜態をさらしてしまった。少し考えれば、こうなることはわかりそうに思うのですが。

電王戦については、「コンピュータが人間を超える」事例として最近よく引き合いに出されます。抜かれる側の人間の態度として、連盟のとった行動は、およそ考えうるかぎり最悪のものだったと言えるでしょう。囲碁ではまだソフトが人間に追いついてはいませんが、囲碁では棋士たちがこのような醜態をさらさないことを願うばかりです。…なんですが、囲碁棋士の発言を見ていると、中には将棋の教訓からまったく学んでいないのか?と思うような発言も目についたりします。しかもそれが私の好きな棋士だったりするのでけっこう悲しい。もちろんみんなではないのですが。囲碁棋士の皆さんも、ぜひ私のこのブログを読んで将棋の事例を学び、他山の石としていただければと思っています。

もう一点、B)の「姿勢や態度」について言うと、連盟&マイナビの考えとしては、「将棋文化を守ることが公益である」と考えていることが準備書面から読み取れます。自分たちの内輪の約束事が世間一般に通用する/すべき、と思い込んでいるわけです。この世間常識のなさには全く呆れる他ありません。

ネットではいろいろ言われているようですが、私はいわゆる「将棋文化」については、知識としてはかなり知っています。一応子供のころからの将棋ファンですので。ただ、将棋村の人たちがその文化とやらに自ら従うことをとやかく言うつもりはありませんが、自分がその文化に従うつもりはさらさらありません。私は将棋というゲーム自体は好きですが、いわゆる将棋文化はゲームそのものとは全く関係ありません。

将棋文化というのは、言ってみれば宗教のようなもの、と私は考えています。将棋村の外の一般の人も、おそらくそのように考えている人が多いでしょう。どの宗教を信じるかは、その人の自由です。他人が何を信じていようが、こちらは口出しはしません。逆に自分が何を信じるか・従うかについて、他人に口出しされる言われはまったくない。

旅行先で観光として教会や寺院に行くことがあります。信者の人が祈りを捧げたり五体投地をしたりしている。そんなときは、彼らの信仰は尊重するので、祈りを邪魔したりしないよう静かに見ています。ですが、私自身は彼らの神を信じているわけではないので、自分が五体投地したりは当然しない。それと同じこと。

将棋文化についても、あなたが信じるというならどうぞご自由に、ただし私には押しつけないでくださいね、というスタンスです。ところが連盟&マイナビは、「将棋に関わるなら、(我々の考える)将棋文化に従うべきだ」と本気で信じこんでるわけです。将棋というゲームと、将棋文化を混同しているのかもしれません。ただ宗教を信じているだけなら無害ですが、それを他人に押しつけはじめると、頭のおかしな人と思われるだけです。しかもそれを、私に言うだけならまだしも、裁判の場でそれを大まじめで主張しだすのですから、ちょっと正気を疑わざるをえません。他のことを犠牲にして将棋ばかりやっていると、ここまで常識が欠如するものなのでしょうか。

さて以前「裁判第2回」にも書いた通り、連盟&マイナビの主張は裁判官には全くスルーされ、連盟は「主張がよくわからないので、論点をしぼって次回までに書き直してきてください」と言われて第2回は終わりました。彼らの主張 -- 「態度が悪い」「2chでも批判されてた」「金銭に執着」「売名で面談要求」等々 -- は、すべてなかったことにされました。こういうのもちょっと珍しいと思うのですけどね。裁判官もさぞ困惑してたんじゃないかと思います。

ただまあ、主張の説得力は置いといて、とにかく何としてでも伊藤を非難したい、そのためには嘘でも誇張でも書くぞ!裁判官にバカにされようが知ったことか!という強い憎しみだけは非常によく伝わってくる書面ではありました。裁判では相手にされませんでしたが、ある意味記念碑的な書面だったかもしれません。よっぽど私のことが腹に据えかねていたのでしょう。その点は理屈を越えて、同情を誘う部分も全くないとは言えません。うんうんわかるわかる。悔しいのう、悔しいのう。ほらこの鮭やるから元気出せよ?

例によって最後は第3回の日時を決めて終了です。今回はこちらのTODOアクションは何もないので、次回まではひたすら待つだけです。

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コメント

 今回の記事でほぼ確信しましたが、中傷記事は伊藤さん排除が目的でしょうね。
 つまり、当時、「今後ソフトと名人が戦うことになっても伊藤さんとだけは戦わせるわけにはいかない」という連盟の強い意思表示だったのでしょう。

 名人とソフトが戦うことは将棋史に残る歴史的なことですし、いくら羽生さんでも勝つことは難しい。カスパロフvsディープブルーがいまだに取り上げられるように、その対戦映像も繰り返し使われることになるでしょう。
 とすれば、将棋連盟が、連盟の考える将棋文化を尊重しできるだけ歩み寄ってくれる開発者を選びたいと思うのはある程度仕方ないようにも思います。

 そういう意味で、もし連盟側が「あなたと名人を対戦させたくないので電王戦出場はやめてもえないか?」という打診があったら伊藤さんはどう反応されたのかは興味あります。
 中傷記事なんて論外ですけど、他にどのような方法がありえたのかという意味で。

長い
産業で

将棋連盟のHP、組織概要の目的・運営には
「目的として「将棋の普及発展と技術向上を図り、我が国の文化の向上、伝承に資するとともに、将棋を通じて諸外国との交流親善を図り、もって伝統文化の向上発展に寄与すること」を謳っています。 」
とあります。

上記の目的を持つ団体が公益法人として認可されたという事は、国も「将棋文化を守ることが公益である」と認めていると考えらるので、「完全なる内輪の約束事」では無いのでは?
もちろん、それは他人に無理に押し付けるものでない事には同意ですが。

将棋の技術向上の面からは、名人を超えるソフトの開発とソースコードの公開をした伊藤さんには、本来なら連盟から感謝状の一枚でも届いても良さそうだとは思います(笑)
連盟の考える将棋の技術向上が人間限定だとしても、スパーリングや新手研究に間違いなくソフトは役立っているはずなので。

前回はご丁寧にリアクションまでいただき、ありがとうございました。
ついでと言ってはなんですが、マイナビさんの準備書面はとおりいっぺんというか、出版物の名誉棄損訴訟のテンプレのような書き方に感じました。訴訟では一度認めてしまったことを覆すのは難しいので、とりあえず争っておいて先行きが悪くなれば和解協議なり妥協に応じる、というのはよくある戦術です。出版社も、この弁護士もそこまで見通していたのでは、というのはただの意地の悪い推測です。
連盟のは、ご指摘の通りただただすごい。
新潮の記事について新潮に聞かず「当職はこのように解釈する」(現代国語か?)とか、「その週刊誌を読んで感想文を書いた実績ある内館大先生に何ら非はない」とか、大真面目に言っているようなもので。
この分野の実務にあまり触れたことないけど、将棋好きで名声があるとかだけで顧問をやっているとかではないと信じたいですが…
それに評論と名乗る以上、どの程度の裏どり、反証を試みたかが重要なわけですが、文春のほか挙げたのは、内館氏が見たはずのない2chのみ。いわく「複数の情報や資料」を列挙することがまさに証拠なのですが、実際はないのか、表に出せない事情があるんでしょうねえ(笑)

名人は塚田九段相手に入玉模様で大優勢を互角にされないと思います

おめでとうございます。素晴らしい正義だと思います。

連盟の主張は、単に僕が嫌いなアイツをやっつけてよ裁判官っていってるようにしか思えないんですが・・・
これって許されるものなのか?しかも公益法人が。
裁判とは証拠を元に審査する場所だと思ってたが違うのかな・・・
以前の弁護士探しの記事にもありましたが、事情知らない人が見るとお前何したらこんなに恨まれるんだwwwwって言われるのも納得できます。
一つ疑問なのは連盟は名誉毀損の事実はないが、もしそうなら新潮に責任がある。ってことなのかな
この裁判って、内館氏の記事が名誉毀損にあたるかどうかの裁判で発行元の責任を問う裁判と認識してましたがそこ関係あるの?って思った。

多少の慰謝料で当初の目論見通り伊藤氏を排除することに成功した日本将棋連盟
訴訟だけではなく一連の流れからいうと、勝者は将棋連盟でしょう

これだけの事実証拠資料が揃っているのにも関わらず
マスメディアが取り上げない、公益社団法人を管理する
内閣府も取り上げない、ことに今回の問題の「闇」の深さを
感じます。過去の出鱈目な収支決算も国税に取り上げられませんでした
(職団戦に国税局員も参加?)。連盟は裁判官も(職団チームに
無いのが幸い)誰も彼も将棋村に平伏すと信じているのでしょう。
愚かなことです。しかし、此の裁判が世間の噂にも上らないのが
また或る意味、この国の「闇」の深さを物語っています。

内館のコラムは将棋世界からなくしたほうがいいと思ってます。今月先月先々月と連載開始当時からチェックしてますが、何かと他人を批判する内容で読んでて面白くないです。伊藤氏はとんだ好材料にされてしまったのです。

将棋連盟とは恐ろしい組織だったんですね。
関わりたくなくなりました。
伊藤さん、情報の公開ありがとうございます。
これからもがんばってください。

たくさんリクエストあると思いますが、
今回の電王戦について伊藤さんのご意見をお聞かせください。

いろいろ見て回った結果、あまりに膝を打ったコメントがありましたのでご参考まで。伊藤さんには今更のことだと思いますが。

名無し名人 2015/04/12 (日) 11:47
技術者はどうあるべきか、ということを昨日一日で痛感させられた。
技術や知識は、やっぱり人に喜んでもらうためにあるわけで、技術者が自分の能力を誇示するのに技術を利用したり、技術をもってして、冷徹な論理に人を隷属させるようなことが目的化しちゃいけない。
技術に触れるきっかけは、自分が楽しかったから、でいいんだけど、その先は、誰をどれだけ喜ばせられるかを常に意識しながら進んでいかないと。
それができなかったのは、単に自分の技術力が足りなかったからで、誰を責めることもできない、技術者が克服すべきこと。
同業として、自戒を込めて。

連盟から排除されて悔しいのですね。うんうんわかるわかる。悔しいのう、悔しいのう。ほらこの鮭やるから元気出せよ?

電王戦の始まりに大きく関与した伊藤さん。
コンピューター vs プロ棋士のより良い終わらせ方について何かアイデア無いでしょうか?
このままではちょっと。。

 (将棋連盟に)名人を超えたと言うことは、神を信じる人に神はいないというのと一緒と思いました。しかも証明したと主張するわけですから・・・・嫌われても仕方ないですね。「あ、神様、間違ってますよ、こっちが正しいですよ」と言ってる感じですので。

伊藤さん!

電王戦FINALで、21手で投了したことで
AWAKE開発者の巨瀬さんが叩かれる流れになっています!

伊藤さんから、この一件をどう思われますか?

今年の電王戦は本当につまらん内容で終わったが事前貸し出しで有利すぎる条件で勝ち越しできた連盟側はプロの強さを証明できたと言い張るのですかね 最終局は伊藤さんが指摘したとうりの研究発表会そのもので将棋と呼べる代物ではなかったのに阿久津は「勝ちにこだわった」なんてよく言えたもんだと思いました 最初から入玉狙いで指した塚田を思い出し不愉快になりました

>AWAKE開発者の巨瀬さんが叩かれる流れになっています!
>伊藤さんから、この一件をどう思われますか?

この件については4/12にツイートしていますので、よろしければそちらをご参照ください。まあ、ルールがひどすぎましたね。巨瀬さんの心情は理解できます。

連盟批判するなとはいいませんが、
連盟批判が目的化してるんじゃないですか?
(なんとつまらない)

ルールは事前発表してるので研究発表会だというなら見なければいいだけですよ。
それなりの数の人はそれでも楽しんでいるわけだし、その人たちの勝ちですね。米長会長も第1回の後の会見で、楽しんだ視聴者が勝者だと言ってたのには同感です。

ポナンザの山本さんは「(ルールがどうあろうと)ポナンザは強いんで大丈夫です」と言ってましたが、ソフト開発者の姿勢として正しいと思いました。

伊藤さん!

Twitterの投稿読ませていただきました!
ありがとうございます!

投了した巨瀬さんの気持ちも、何とかして勝たないといけないという阿久津さんの気持ちもわかりますけれど、なんだか釈然としないイベントになってしまったと感じてます

私は、プロや連盟は口が達者だと感じています
さも”大人な対応をしている集団”という空気を作って、正論や批判をのらりくらりと避けているように見受けられます

第二回の電王戦が、1番熱かったです。第三回以降は、暇つぶし的にしか見られませんでした……

ここに書き込む人でズレた人がいて
勝手な妄想で人を叩いたり、決めつけて書き込んだり頭が痛くなりますね
話が通じない所じゃ無くて、話もしたくないのに話しかけてきて勝手にキレてる
伊藤さんもコメントを確認して承認しないといけなくて大変だと思いますが
ブログの続きを楽しみにしております

このコメントは公開しなくて良いです、ズレた人がコメントに絡んでくるので

日本将棋連盟が提出した証拠、乙イ7号の2chのスレッド。
私の方は、全文読みました。「 『原告の礼儀・礼節の姿勢がテーマである』
と主張しているが、何だか。ここにもいろいろ書かれてあるが、
具体的に原告のどの発言/行動が、礼儀・礼節の姿勢に関して非礼だと
考えるのかがわからない」との旨の、裁判官の判断は、裁判官が、実際
これを読んで、ここでもそう判断したとすれば、概ね妥当な解釈だった
と思いました。裁判官は慣れているので、この程度の文書の分量では
こたえないのでしょうね。
「原告の礼儀・礼節の姿勢」に関して。乙イ7号も証拠として希薄です。
800番あたりに、「対局後、『ありがとうございました』のあいさつが
伊藤氏に無かった」の発言が、2~3回出て来るのが、このカテゴリー
に属する、唯一の発言でしょうか?
ただし、この発言に関しても、それに対応して、「月夜の駒音」で
その著者が、「同じ指摘をしている」という主張が、日本将棋連盟の
準備書面に、特に見当たらないように思います。
この証拠は悪口がかなりの量を占めるため、伊藤さんには読みづら
いのは理解できます。
 が、この2chのスレッドには、日本将棋の中身を知らないと。もともと
「原告の礼儀・礼節の姿勢が悪い」という主張の証拠の割合が、余り
にも希薄なため、伊藤さんの弁護士さんにとっては、チェックしない
訳にもいかず、読み込み作業もノイズが、素人には馬鹿でかく感じら
れ、弁護士さんには、さぞつらい作業だったろうと察せられました。
伊藤さんも、第3回までに全部読まれて、当事者なりに、証拠として
係争者が使えるものを、ホントに提出しているのかどうかのウラをとり、
有れば真実性(事実であって、言いがかりではないかどうかに関して)
について、弁護士さんに、情報を伝えられた方が、途中で読み込みを
とん挫するよりは、良かったように思え、残念に感じました。
なお、私が抽出した点については。これが事実として。「ありがとうござ
いました」を一回アマチュアが忘れても。その場でプロが指で、相手の
膝小僧を押して、催促すればいい程度の事だろうと私見します。

今回のブログ記事についてではなく、
日本将棋連盟についての印象です。

日本将棋連盟の行動方針は
「プロ棋士の商品価値を下げるようなことは困る」
ということなんでしょうね。

プロ棋士は、教祖か超能力者として、
崇拝の対象でないと、
経営上、困るのでしょう。

実際には、プロ棋士は、
コンピュータ将棋ソフトどころか、
アマ強豪にも負けまくってます。
(そういう動画がネット上にいっぱいあります)

質実剛健とは逆で、
イメージ戦略で成り立ってる集団なのでしょう。
大手メディアを味方につけて、
都合の悪いことは書かれないようにして。

山崎バニラさんも将棋を離れましたが、
間近で見ると、
いろいろ好きになれない面も見えちゃうんでしょうね。

こういう泥沼も含めてかじ取りをしてきた米長さんはすごかったですね。

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